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陸自の広帯域多目的無線機は使えない(上)

Japan In-depth / 2023年6月14日 18時0分

本来軍用装備はその任務に適した周波数帯を採用する。それと異なる周波数帯を使って全く問題ないというのであれば魔法でも使うしかない。だがそれは不可能だ。例えばドローンだが海外では5.8〜2.4GHzの範囲で自由な運用が認められている。





自衛隊は海外のメーカーが使用している5GHz帯を使用できず、2.4GHz帯を使用せざるを得ない。このため陸自が採用したボーイング社のスキャンイーグルも仕様を5GHzから2.4GHzに変更されている。だが慶応大学SFC研究所の部谷直亮上席研究員がWEGDEに寄稿した「『有事』に無力な日本の電波法ドローン活用に必要な覚悟」では以下のように述べられている。





「米軍が運用する米国製ドローン『Skydio2+』の通信距離は最大6キロメートルとされるが、これを日本の電波法に適した形で運用するとたった300メートル程度しか飛行できなくなってしまう」。また対ドローン機材を扱う企業の社長の言葉として「電波法の出力規制によって、対ドローン機材の有効射程距離は100メートル程度にまで低下する」という証言も紹介している。





しかも外国製品を日本仕様にすることで、そのための検証も必要となり余計なコストがかかる。このため取得価格も高くなる。





しかしにもかからず、情報通信課はそれでも周波数帯の問題はないと主張している。防衛省の筆者に対する回答は以下の通りだ。





「防衛省・自衛隊としては、無線機やレーダー等の電波を利用する装備品について、必要となる周波数を確保した上で使用しています。無人機について、我が国では、民間で使用されている無人機の周波数帯として、例えば2.4ギガヘルツ帯や5.7ギガヘルツ帯等が割り当てられていると承知していますが、自衛隊は、それら2.4ギガヘルツ帯等の周波数帯にとらわれることなく、任務や活動の目的に応じ、無人機の能力を適切に発揮するために必要な周波数を確保しています。そのため、使用する周波数が原因で、無人機の性能が適切に発揮されないといったことはありません。





また、海外製の無人機を導入する場合も、例えば、機体の能力を発揮することが可能であること、自衛隊の他の装備品に電波干渉が生じないことなどを勘案して周波数を設定し、総務省の承認を得ており、本来の性能を落として運用しているという事実はありません。





現行制度の下、自衛隊は必要な電波を確保してきましたが、先般閣議決定された国家防衛戦略では、『隊が安定的かつ柔軟な電波利用を確保できるよう、関係省庁と緊密に連携する』と新たに記載されました。防衛省としては、国家防衛戦略に基づき、総務省との連携を更に強化して自衛隊に必要な電波の確保を進めてまいります」。





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