アメリカはいま――内政と外交・ワシントン最新報告 その18(最終回)ユダヤ資本の実態、ウクライナ戦争の展望
Japan In-depth / 2023年6月15日 11時0分
古森 アメリカ側も、ロシアと正面衝突はしたくない。アメリカ側はもちろんそれはしないでしょう。G7というのは一種の儀式的な意味が強くて、経済制裁をこれまでよりもロシアがもっともっと困るようなかたちでとれるかどうか。このあたりが期待値の上限でしょうね。
軍事的に何かG7が共同でできることはない。まして、日本が議長国であれば、日本は軍事ということには一切手を触れないわけですから。ところが、残念なことに、これからのウクライナ情勢を決めるのは軍事です。軍事でどっちが勝つかということで停戦状態が生まれるかどうかが決まるわけです。
私自身は、北朝鮮からあんなにミサイルを発射されても、中国があれほど軍事的に恫喝的なことを尖閣でやってきても、とにかく軍事には一切触れてはいけないという戦後の日本の、結局はわれわれの選んだ道なんだと思います。しかしどんな場合でも戦争はいけないのだ、という主張には欠陥があります。
大阪の橋下徹さんじゃないが、ウクライナの人も戦争をしてはいけない。自衛のため、自分の国を守るため、家族を守るためでも、戦ってはいけないのだというのは、あまりに無責任だと思います。国家や国民の生存を賭けて戦っている他国に対して、日本が伝えるべき言明ではありません。ウクライナは国のあり方が問われているときなのです。
だから、では日本が核武装するとか軍事力を大幅に即時、増強すべきだというわけではありません。世界の現実をみて、とくに軍事という面も考えて、日本としてできることがあればしなければいけないという感じるわけです。
G7というのは、そういう日本にとっての一番大事な課題を考え、論じる場です。イギリスだって、フランスだって、みんな核兵器を持ち、軍事力を持っている。ドイツだって自国の軍隊をアフガニスタンにまで出している。日本だけは、アメリカという同盟国が9・11のときに被害を受けて、その反撃としてNATOは全加盟国が宣戦布告し、アフガニスタンのタリバン政権を攻撃したけれど、日本だけは憲法があるからできないという。
私もアメリカの下院議員の民主党の人が目の前で、日本はいつも憲法があって何もしないというが、アメリカがこれだけ同盟国として日本を守ってきて、そのアメリカがやられて困っているときに、じゃあそろそろ日本も憲法を変えてアメリカを助けようじゃないかと言った日本の政治家が1人でもいるかっ、と議会の公聴会で大声で発言したのを聞きました。トランプ政権時代の話です。そのへんに戦後の日本の本質の問題があるわけです。
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