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「マイナンバーカード・トラブル」④ 「持ち歩ける」電子カルテ

Japan In-depth / 2023年7月22日 11時0分

「マイナンバーカード・トラブル」④ 「持ち歩ける」電子カルテ


渋川智明(東北公益文科大学名誉教授)


渋川智明の「タイブレーク社会を生きる」





【まとめ】


・電子カルテ導入率は約50%。設備導入費用かかることが原因。


・超高齢化社会で電子カルテのデジタル化の重要性は増してくる。


・マイナ保険証で問われる実現・信頼への道のりにどのようにつなげて行くのか。


 


 マイナンバーカード・トラブルで、政府は目の前のトラブル対応に追われているが、マイナ保険証による一体化で、「持ち歩ける」電子カルテの実現など医療DX(デジタルトランスフォーメーション)の長期的視野に立った展望をもっと示す必要性を、このシリーズの前回までの投稿で指摘した。


来年秋にマイナ保険証の廃止期限を迎えるが、止まらないトラブルの続出と、カードの返納者まで出ている現状の中で、あえての有用論を引き続き、詳しく考えてみたい。


 医療DXと、その中でも重要な「持ち歩ける」電子カルテについて、現在は医療機関ごとに、業者のシステム、使い方などが違えば、有効・迅速に膨大な医療・薬剤情報が共有できない現状を指摘した。


政府の推進本部(本部長・岸田首相)は情報言語・ツールが標準化され、患者の同意と医師との信頼関係(承諾など)の下に、マイナポータルを通じて個人の医療情報が開示できるシステムを目指すこと、と解釈している。


 


■電子カルテ(診療録)の標準化と共有の重要性


様々な医療情報の中でも特に重要なのは医師が患者を診療した時に患者の医療情報を記録するいわゆるカルテ(診療録)だろう。かつては医師が紙に手書きしたカルテなど、他者が読めないものもあるなどと指摘されたが、現在は紙カルテもふくめて改善され、5年以上の保存が義務付けられている。


第4次医療法改正で医療機関の広告制限が緩和され医師の略歴やカルテの開示が可能であることなどもHPなどで広告できるようになった。患者や家族が求めた時に法律上開示を義務付けるべきか、不正な利用や個人情報保護お観点から議論が続いている。こうした患者の主体性の尊重と医療の情報開示の歴史とを踏まえれば、医療機関ごとに標準化され、全国の医療機関で共有できる共通電子カルテの重要性や必要性が理解できるだろう。


現在では、患者が病院に行けば医師がパソコン画面の前で診療情報を伝えるのが普通の光景になっている。だが、システムを開発したメーカーごとにいくつもの種類に分かれている。タイプが異なると、オンラインでつながっていても、情報言語やデータをやりとりできない場合が多い。これを標準化して共通言語に共通化することがいま求められている。


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