米中対立はなぜ「文明の衝突」なのか
Japan In-depth / 2023年8月3日 11時0分
古森義久(ジャーナリスト/麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・米中の対立は「文明の衝突」だとする見解が議会や中国研究者から表明。
・この考察は人種という要素がからむので、微妙な側面がある。
・「文明の衝突論」は、米の対中対決姿勢をこれまで以上に強めていく。
アメリカと中国の対立はなお険しさを増している。6月から7月にかけてバイデン政権はブリンケン国務長官ら複数の高官を北京に送り、中国側との対話を求めたが、なお両国の利害の対立や主張の衝突は激しさを強めている。
こんな現状のなかでアメリカ側で注視されるのは、中国との対立が民主主義と全体主義という政治理念のぶつかりあいだけではなく、文明の衝突だとする新たな見解が議会や中国研究界の有力者から表明されるようになったことである。なぜそんな見解がいま語られるようになったのか。
「文明の衝突」論とは米中両国はそもそも歴史、文化、伝統、社会、民族などを総合した文明が異なることが衝突の主因だとする考察である。単なるアメリカの民主主義と中国の共産主義との対立に留まらないという見解でもある。つまりは米中両国の衝突はイデオロギーの相違だけではない、とする主張なのだ。
この「文明の衝突」論で気がかりなのは、アメリカの文明と中国の文明の違いのなかには、人種の違いまでが含められる点である。この違いを受け入れると、アメリカと中国はもう永遠に正常な国家同士の関係を築けないような可能性までが浮かんでくる。しかも他の局面での両国間の差異をことさら激しくし、対立を決定的に険悪にするような危険性をも感じさせる。
私自身がワシントンで直接にこの米中間の「文明の衝突」論を聞いたのは今年春、大手研究機関のヘリテージ財団での大規模なシンポジウムで、だった。対中新政策を発表するこの集いで基調演説をした議会上院の有力メンバーのマルコ・ルビオ議員がその趣旨を述べたのだった。ルビオ氏は共和党の論客として上院外交委員会で長年、活躍し、2016年の大統領選ではドナルド・トランプ氏に挑戦した政治家である。
以下の骨子だった。
「私たちはいまの世界で人間関係のあり方をめぐる衝突に直面している。アメリカが建国以来、最大の価値としてきた個人の自由や創意に対し中国はその種の西洋的文明は資本主義とともに終わりつつあると断じて挑戦してきた」
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