ワグネルとイスラム国(下) ロシア・ウクライナ戦争の影で その5
Japan In-depth / 2023年8月5日 18時0分
そのような中、ワグネルは中央政府と協力関係を築き、イスラム武装勢力と対峙していたが、これも宗教やイデオロギーが動機ではなく、同国の金鉱の利権が目当てであったに違いないと衆目が一致している。
そのワグネルが撤収する、との情報が政府のみならずスーダン、コンゴなど周辺諸国にも激震を走らせた。ちょうど、イスラム武装勢力が新たに「イスラム国中央アフリカ州」の名のもとに再編成され、勢力も急激に拡大させてきたとして、各国が警戒を強めていた、まさにそのタイミングだったからである。
ちょうどアフガニスタンから米軍が撤退した後、たちまちタリバンが息を吹き返して政権を掌握してしまった、あの悪夢の再現になるのでは……というわけだ。
現時点でワグネルは、
「単なる要員の交代に過ぎない」
として、撤収の噂を否定しているが、お世辞にも義理堅い人たちとは言えないので、先行きはきわめて不透明である。
本来ならば国連が乗り出すべきところ、ヤクザ同然の連中に治安維持を丸投げした結果がこれなのだが、今それを言ってもはじまらない。すでに数百人単位の犠牲者を出す惨事が幾度も起きているが、一日も早くこうした状況から脱して欲しいものだ。
(その6に続く。その1、その2、その3、その4)
トップ写真:議会選挙に投票する直前、国連平和維持軍と民間治安要員に護衛される中央アフリカ共和国のファウスティン・アルシャンジュ・トゥアデラ大統領(2021年3月14日 中央アフリカ共和国・バンギ)
出典:Siegfried Modola/Getty Images
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