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オランダの帯水層蓄熱利用技術、大阪で採用 メディアツアー報告3

Japan In-depth / 2023年8月7日 23時17分

オランダの帯水層蓄熱利用技術、大阪で採用 メディアツアー報告3


安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)









【まとめ】


・オランダで普及している、「帯水層蓄熱(ATES)システム」。


・地下水を熱エネルギーとして地下帯水層に蓄熱し、建物の冷暖房を効率的に行う技術。


・「グラングリーン大阪」でATESシステムは採用された。


 


オランダといえば風力発電。グリーン水素生産に使われる再生可能エネルギーも風力だ。


一方、今回のツアーで知ったのだが、オランダには特筆すべきグリーンテクノロジーがあった。


それが、「帯水層蓄熱(ATES:Aquifer Thermal Energy Storage)」と呼ばれるものだ。


帯水層とは、「地下水で満たされた砂層等の透水性が比較的良い地層であり、一般には地下水取水の対象となり得る地層のこと」。(公益社団法人日本地下水学会による)


帯水層蓄熱システムは、「地下水を熱エネルギーとして地下に広がる帯水層に蓄熱して建物の冷房・暖房を効率的に行う技術で、省エネルギー、CO₂排出量削減、ヒートアイランド現象緩和策として期待されている」。(環境省による)


その原理は、冷房運転時には冷熱井から冷たい地下水を揚水して冷房に利用し、熱利用によって温まった地下水を温熱井に注入して蓄える。暖房運転時は逆に、温熱井から温かい地下水を揚水して暖房に利用し、熱利用によって冷めた地下水を冷熱井に注入して蓄える、というものだ。



図)帯水層蓄熱システムの概念図


出典)環境省


夏に排出される温熱を冬の暖房熱源に、冬に排出される冷熱を夏の冷房熱源として利用するため、高効率でエネルギー利用を行うことができる。


その効果をNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が調べたところ、


また、夏はエアコンを、冬場は重油焚き温風暖房機を使った場合と比べると、ランニングコストが夏場64%、冬場58%ものコストダウンとなった。また、CO₂の排出量も、年間約60%の削減を達成した。いかに効率がよいシステムかわかる。



図)(上)ランニングコストの比較グラフ、(下)二酸化炭素排出量の比較グラフ(資料提供:日本地下水開発)


出典)NEDO


このATESシステムが普及しているのがオランダだ。国内ではすでに3,000 以上のシステムが稼働しており、世界1の普及率だ。2位がスウェーデンの約220、3位がベルギーとイギリスの約30、5位がドイツの約10だから、いかにオランダでATESシステムが普及しているか分かるだろう。


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