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ジャニーズ問題で明るみに出た男性性被害

Japan In-depth / 2023年8月14日 23時0分

納田氏: 一つ目は時効についての問題です。アドボカシーを続けた結果、法改正を議論する刑事法検討会と法制審査会にSpringのメンバーが入れるようになりました。これは大きな成果だと思いますが、今回の法改正では時効について、5年の延長と幼少期に遭った被害は事実上18歳までの時効の停止という変更しかなされませんでした。ジャニーズ問題のように何年も経ってから罪が明るみに出る場合も多いので、まだまだ短いですよね。そもそも「5年」という数字は、内閣府が行なった調査対象のうち被害の相談が出来た方の9割の47人が「5年以内に相談した」と解答しているからですが、一方で6割の85人の方は誰にも相談していないと答えているのです。相談できない方々を切り捨てるのではなく、もっと広い視点での調査が必要ではないかと思います。





二つ目は性的同意年齢の問題です。今回の改正では16歳に引き上げられ、13歳以上16歳未満の場合は5歳以上の年齢差があれば無条件で犯罪に問われる「5歳差要件」が追加されました。しかし、本当に5歳差で良いのか、18歳の成人が15歳の中学生に成果買いをしても5歳差用件で無条件に罪に問えない状況で良いのか等課題は残ります。





編集部: ありがとうございます。次に少々話題が変わりますが、貴法人のHPでは、性被害に遭われた方の56.1%が誰にも相談できず、相談できたとしてもそれまでに長い年月が必要になっているとの記載がありました。それはなぜでしょうか。





納田氏: 「性犯罪のもたらす影響の重大さを周囲に理解されない」というのが大きいと思います。性犯罪はその人のアイデンティティを揺さぶるほどのダメージを与えますが、周囲に話すとその被害者側が責められてしまう、また、大したことのない問題のように扱われてしまう場合が数多くあるのです。また、どうしても性についての話題を「恥」としてタブー視する考え方が残っていることも要因です。「あなたは悪くない」「言っていいんだよ」という空気感を作っていきたいですね。さらに、許し難いことですが家族が加害者となるケースもあります。特に一家を支える父親が加害者だった場合は、父親を失い一家がバラバラになってしまうのではという恐怖から言い出せないケースも多いです。





編集部: 性被害を未然に防ぐためには法改正以外に何が必要でしょうか。





納田氏: 性教育が絶対に必要だと思います。例えば、同意なしで性交すれば不同意性交等罪として罪に問われると知らなかったら、気付かぬうちに加害者になってしまう場合もあります。「いやよいやよも好きのうち」という言葉がありますが、「いや」は「いや」なのだという意識を高め、「Yes」のみが同意であるという性交同意が、年齢に応じた性教育によって社会常識になることが重要です。また性暴力がもたらす性病は、不妊症に繋がったり、命に直結する場合もあるので、そうしたリスクもきちんと教えていく必要があります。性に関する話題を「恥」でなくしていきたいです。





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