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ChatGPTが医学研究に与える影響

Japan In-depth / 2023年9月23日 12時27分

ChatGPTが医学研究に与える影響




上昌広(医療ガバナンス研究所理事長)





「上昌広と福島県浜通り便り」





【まとめ】





・北大医学部金田侑大君と常磐病院尾崎章彦医師がChatGPTを使った看護師国家試験の挑戦に関する研究結果を公表。





・テクノロジーの進歩が医学研究を劇的に変えていることを実感する。





・臨床医学の分野では、やる気ある若者が集う独特なエコシステムが福島に構成されつつある。





 





9月中旬、坪倉正治・福島県立医科大学教授がルーマニアを訪問した。北太平洋条約機構(NATO)の会合に招待され、福島での被曝対応について話すためだ。坪倉教授は、今や被曝対策の世界的権威だ。ウクライナ戦争が長期化し、核攻撃の危険性は高まっている欧州は、彼の知見に期待している。





なぜ、坪倉教授のような人材が育ったのか。それは東日本大震災直後に相双地区に飛び込んだからだ。当時、彼は東京大学医科学研究所の大学院生で、私は指導教員だった。相双地区で、立谷秀清相馬市長(医師、全国市長会会長)をはじめ、優れたメンターに出会い、彼が急速に成長していく様子を見ていた。





東日本大震災以降、福島には国内外から様々な専門家が集い、多くの実績を上げてきた。坪倉教授は、その代表例だ。成功事例を見れば、フォロワーが集う。現在、福島には彼らを慕い、若者が集っている。





その中の一人が北海道大学医学部5年生の金田侑大君だ。2021年6月に医療ガバナンス研究所にやってきてインターンを務めている。彼は足繁く福島にも通い、現地の中堅医師の指導を受けている。そのような指導者の一人が、いわき市の常磐病院に勤務する乳腺外科医の尾崎章彦医師だ。





尾崎医師は福岡県出身。東京大学医学部を卒業後、千葉県などの勤務を経て、福島に移り住んだ。現在、福島県立医科大学の特任教授も務め、坪倉教授らと共同研究を進めている。そして、金田君は彼らの指導のもと、多くのことを学んでいる。





8月3日、金田君と尾崎医師らは、『Cureus』誌にChatGPTを使った看護師国家試験の挑戦に関する研究結果を公表した。この研究によれば、GPT-3.5の正答率は59.9%であり、合格基準には届かなかったものの、GPT-4ではその正答率が79.7%まで向上していた。人工知能分野の研究の進歩は凄まじい。





医学生が英語で学術論文を書くなど、私が学生の頃(1987―93年)は考えられなかった。私が初めて英語で学術論文を発表したのは、骨髄移植後の肝臓合併症をまとめたもので、1997年9月、28才の時に発表した。金田君とは5年以上の開きがある。





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