失われゆく天・地・人の恵み ~より高いコストに備えなくてはいけない日本経済 ~
Japan In-depth / 2023年10月4日 17時0分
■ 日本の安全保障
日本の安全保障を守る力を増強すると言っても、80年前の反省は今もなお生きており、軍事強国を目指す選択肢はマジョリティの支持を受けないだろう。現在、防衛費の金額の議論が先行しているが、軍事強国は目指さず、しかし十分に日本の安全を確保する防衛のあり方とはどういうものか。多くの国民が分かるようにそのビジョンが示されることも重要だ。
筆者は安全保障の専門家では全くないが、抑止が1つの重要な要素になりはしないだろうか。日本の安全を脅かそうとする外部の力に対して、そういう行為の帰結としてどれほどのコストが発生するかを相手に認識させるということだ。
もし、ウクライナによる国土防衛がこれほどに確固たるものであることが、ロシアにとって事前に明確であったとしたら、果たしてロシアはあの時点で侵攻を開始したであろうか。歴史に「もし」はないが、そうしたことをついつい考えてしまう。ウクライナでのことは、実質的な効果を伴う防衛力と、それを潜在的な脅威に対し知らしめる外交力の双方が重要なことを教えてくれている気がする。
もちろん、コストを考えても、そうした抑止力を日本だけの力で十分に形成することは難しいだろう。だからこそ、多国籍での抑止力形成に向けての取り組みがこれまで色々なされてきた。さらに日本は、国家の安全保障を、その人口が減少していく中で確保していかなければならないのである。
■ 地球環境保全のコスト
しばしば、安全な空気や水はただではないと言われる。また、身の回りのものを見回し、再生してもう一度使用できるものがどこまであるかを考えると、私達は地球を削りながら便利さを得てきたのだということに改めて気が付く。再生されないものは、結局はゴミになる。今日明日に資源が枯渇してしまう訳では決してないが、資源は、削り続ける限りいつかはなくなってしまう。
さらに、温暖化が地球環境を大きく変えているようだ。専門的な議論はなお続いているが、温暖化ガスの排出量削減の必要性は、今や広く支持されている。その実現のためには膨大な費用が発生する。その負担を避けていては、今と同じ人類の生活環境は維持できないということだ。
省エネルギーの工夫で、そのコストを軽くすることはできるだろう。しかし、それだけでは不十分であり、技術革新も必要なる。ただ、その技術革新は、現在の地球環境を維持するためのものであり、必ずしも金銭的な利益を増やすものではない。経済活動の評価に関する私達の目線も変えていかないと、地球環境の保全ができないところに来ているのだろう。
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