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えげれす国紫煙譚(上)たまにはタバコの話でも その3

Japan In-depth / 2023年10月27日 23時0分

「いけませんよ、そういう態度は。貴方は小さな紳士なのだから」





と注意したのを見て「感動のおかわり」だった、というような話だ。





もちろん小学生当時でも、そこは林信吾である。どうせ作り話だろう、くらいに受け止めて、本気で感心することなどなかったが、後に『小さな恋のメロディ』という映画(公開は1971年だが、私はもう少し後で見た)で、小学校の運動会のシーンがあるのだが、タバコを吸っている子がいたので、現実はこんなものだろうな、と妙な具合に納得したのを覚えている。





実際、英国ロンドンで暮らすようになってから、あらためて日本の教科書のデタラメぶりに怒りを覚えた。この国の、労働者階級のガキどもの行儀の悪さ、口汚さときたら……





人種差別発言も幾度となく浴びせられたが、相手は決まって身なりの悪い若造で、前にも述べたことがあるが、地下鉄の中でツバを吐きかけられたものだから、回し蹴りで返礼したことがある。こちらも若気の至りではあったが笑。





タバコに話を戻すと、路上はもとより公共交通機関でさえ喫煙OKだったが、その割には備え付けの灰皿など、まず見当たらなかった。とどのつまり駅構内も周辺の路上も、ポイ捨てされた吸い殻だらけであったのである。





潮目が一挙に変わったのは、1987年11月に起きた、地下鉄駅での惨事、世に言うキングス・クロス火災がきっかけだった。





キングス・クロス駅とはロンドン北部の主要ターミナル駅のひとつで、地上駅はブリティッシュレール(当時のイングランド国鉄)が、そして地下駅にはメトロポリタン、ノーザン、ピカデリー、ヴィクトリアと、じつに地下鉄4路線が乗り入れている。





地下鉄ホームはかなり深いところにあり(大戦中、ナチス・ドイツによるロンドン空襲の際はシェルターとして利用された)、長いエスカレーターで上り下りするのだが、そのエスカレーターの羽目板は木製であった。





よく知られる通り、ロンドンは世界で最初に地下鉄が営業開始した(1863年)街だが、設備の更新という点では、後発の日米などに後れを取っていたのである。





おまけに、旧式の設備にもかかわらず、過去に大きな事故が起きていなかったため、検知器などもろくに備えられず、職員の防災・避難誘導訓練もまともに実施されていなかった。消化器はあるにはあったが、駅員は使用法を知らなかったそうだ。





11月18日(水曜日)午後7時頃、地下鉄ピカデリー・ラインのホームへと下るエスカレーターで火災が発生。





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