アメリカはなぜ安倍晋三を賞賛したのか
Japan In-depth / 2023年11月6日 17時0分
古森義久(ジャーナリスト/麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・米政府、議会、研究機関の関係者らが安倍氏の施策や業績を話題にすることが多い
・23年の日米韓3国首脳会議で「この前進はまさに安倍晋三首相の政策の産物」との声も。
・その経緯を『アメリカはなぜ安倍晋三を賞賛したのか』で詳細に報告。
アメリカの首都ワシントンで記者としての取材活動を続けていると、安倍晋三氏がまだ健在であるような錯覚に襲われることがよくある。そして、はっと、させられるのだ。
私が長年の報道拠点としてきたワシントンで、2023年10月という時点でも、そんな思いをさせられた。安倍氏が暗殺された2022年7月8日から1年3ヵ月ほどが過ぎていた。だが安倍氏はなお活動中だとつい思わされるのだ。
なぜかといえば、この時点でもまだアメリカ側の政府、議会、研究機関の関係者たちが安倍氏の施策や業績を話題にすることが多いからである。とくにアジアやインド太平洋の政策にかかわる米側の関係者たちは安倍氏がなお健在であるかのように、語るのだ。
安倍氏が進めた政策がアメリカ側にとってもいま活気を高め、勢いを強めているという感じなのである。そこからは、その背後にはご本人がまだあの微笑とともに姿勢よく立っている、というイメージまでが浮かんでくるのだ。
たとえば23年8月にワシントン近郊の大統領山荘、キャンプデービッドで開かれたアメリカ、日本、韓国の3国首脳会議では3国のかつてない防衛協力の強化が合意された。北朝鮮や中国の脅威に備えての3国の軍事要素の強い連帯だった。その直後にはアメリカ政府内外の識者たちから「この前進はまさに安倍晋三首相の政策の産物だ」という見解が語られたのである。
このようにアメリカ側では安倍晋三氏への賞賛がいまなお表明される。なぜそうなのか。なぜ当の日本よりも強いと思われる安倍氏への前向きな評価がこれまでも、そして同氏の死後のいまも、述べられるのだ。どうしてだろうか。
その点に多角的な光を当てた書を私は上梓した。『アメリカはなぜ安倍晋三を賞賛したのか』というタイトルの本である。産経新聞出版からの刊行である。
安倍氏は周知のように、この日本戦略研究フォーラムの最高顧問でもあった。2022年4月21日には同フォーラム主催のシンポジウムで格調の高い演説をしている。「台湾海峡危機と日本の安全保障」という主題だった。
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