「豊かな国」はどこへ消えた?(上)こんな日本に誰がした その1
Japan In-depth / 2023年11月20日 17時0分
世界の主要都市には、必ずと言ってよいほどマクドナルドがあり、人気メニューのビッグマックは、やはり必ずと言ってよいほど販売されているので、その値段を見比べることで、生活実感としての通貨価値を知ることができる、というわけだ。英国『エコノミスト』誌が年2回データを公表している。
8月3日付のビッグマック指数を見ると、日本は450円で、55カ国中44位。1位のスイスは1056円、米国は8位(2位ノルウェー、以下略)で774円。
日本より下位となると、前述のように11カ国しかないわけだが、中国では415円で、日本に肉薄してきており、それ以下の国は大半が発展途上国である。
ここでいささか余談にわたるのだが、このビッグマック指数については、
「あまり当てにならない」
とするエコノミストが結構多いということも、見ておかねばならないだろう。
経済指標として扱われるからには、世界中どこの店で売られているビッグマックも、
「同じ材料を同じだけ用いて、同等の手間(=労働力)を注いで作られている」
という前提でなければならないが、実際には例外も結構多いらしい。私は外国に出てまでビッグマックを食すような味オンチ、もとい、マクドナルド・フリークではないので、詳細までは正直よくわからないが。
さらに言えば、税制の違いなども関係してくるし、インドのように、国民の大多数がヒンズー教の信者で牛肉を食べない国もあるが、なんと、鶏肉を使ったバーガーをビッグマックと見なしているのだと聞く。
なるほどそう言われれば、とも思うが、あくまでもひとつの目安だと割り切れば、分かりやすくて結構だろうというのが私の考えである。
話を戻して日本のビッグマック指数は、2010年7月の段階では14位であったものが、2015年7月には28位まで後退し、2020年7月には26位とわずかながら盛り返したが、翌2021年7月には30位まで後退。2022年7月にはついに41位となり、今や前述のように44位と、まさにジリ貧状態だ。
しかしながら、ここで首をかしげる読者も、中にはおられるだろうか。
ビッグマックの値段自体は高くなってきているのに、どうして順位が下がるのか、と。
実は割合簡単な話で、元の『エコノミスト』誌のデータはドル建てで集計されている。
本稿では読者の便益のために円建てで表記した(円価格のデータは『東洋経済』などによる)が、要するに、その国の通貨がドルに対して強く(=高く)なれば、ビッグマックの価格も高いことになるので、順位が上がるというわけだ。
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