仏、移民法案の審議が再開
Japan In-depth / 2023年11月21日 17時0分
さらにこの近年、フランスでのOQTFの執行数は増加したものの、その割合は減少しているという問題もある。減少の理由はいくつかあるが、その中でも、特にマグレブ諸国を中心とした特定の国が強制送還に不可欠な領事館パスの発行を拒否していることが大きい。
しかしながらOQTFを執行できない理由はそれだけではない。高校を襲撃した容疑者の男性の場合は、ウクライナ戦争が関係している。戦争の影響で2022年2月末にはロシアへの強制送還は停止されたためフランスに滞在せざる負えなかったのだ。
また、問題を起こす外国人に対しても滞在許可書の有無は関係なくOQTFを執行できるが、全員に対してできるわけではない。未成年者、フランスに20年以上滞在者、フランス人と少なくとも3年結婚している場合、フランス在住の未成年のフランス人の子供の親、健康状態に注意が必要な人には適用されない。
こういった事情から、行動などに問題が認識されているにもかかわらず、現在、フランスでは約6000人の外国人に対して国外退去命令を出せない状況だ。
審議されている法案では、前述したような問題点を解決しつつ、フランスが必要とする外国人を迅速に確実にフランスに根付いてもらうことを目的としている。
■上院を通過した法案の概要
上院で認められた主な内容は下記となる。
• 国家医療補助(AME)の廃止
これはおそらく、上院での議論の中で最も議論を呼んだ投票だ。
国家医療補助(AME)というのは、滞在許可証または現在の滞在許可申請を証明する文書を持たない状況の外国人が治療を受けられる恩恵を受けることを可能にする制度だ。移住条件と財産に応じて受けられ、認定されれば一年間医療補助を受けられる。更新は毎年必要。
これはマヨット島を除くフランス領土全体に適用され、年間9億3500万ユーロの費用がかかり、医療支出の約0.5%に相当する。ちなみに、亡命規模者はまた違う制度に適応されるので、AMEの対象者ではない。
上院では採択されたものに、現在、AMEの廃止に反対する意見も多く、国会でさらに慎重に議論されることになると予測されている。
• 不足している職業の不法労働者に対する滞在許可について
この居住許可は、フランス本土に少なくとも3年間滞在し、過去24か月間に少なくとも8か月の専門的経験があるなどの特定の条件の下で自動的に発行されることになっている。今回、この制度を削除し、居住許可なしで働く移民を「例外的な」方法で正規化する新たな条項を設けた。
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