「イスラエル・ロビー」とはなにか その2 ロビーには厳しい規制も
Japan In-depth / 2023年11月25日 12時35分
古森義久(ジャーナリスト/麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・ロビイングは単なる陳情の域を越えて、議会の投票決定への政治介入を試みることになる。
・アメリカのロビーは外国の人間や団体、政府までにドアが開かれている。
・イスラエル・ロビーもロビイング規制法と外国代理人登録法の2つの法の枠内で活動してきた。
アメリカの国政で中東へのアメリカの政策をイスラエルに有利にしておくことを主唱する有力な存在としての「イスラエル・ロビー」にさらに光を当てていく。繰り返し述べるように、アメリカの政府や議会のイスラエル支援の政策はイスラエル・ロビーの活動だけの結果ではない。アメリカの国民一般、議会の多数派、そして歴代政権自体が国家としてのアメリカはイスラエルをあくまで支援すべきだとする強く深い意思を保ってきたのだ。イスラエル・ロビーはその広範な支持勢力の代表例なのである。
さてこのイスラエル・ロビーは具体的にどのように政府や議会への活動を展開していくのか。そこには長い歴史がある。その歴史の多くの部分はアメリカ全体の政策をイスラエルにとって有利にしておくという点で成功事例が多いといえる。
だがこのイスラエル・ロビーの実際の行動を紹介する前に、アメリカにおけるロビー活動の基本について、重要な追加の説明が必要である。それは一見、自由奔放にもみえるアメリカでのロビー活動、つまりロビイングに対しても法律上のかなり厳しい規制が存在することである。
アメリカでのロビイングに対しては連邦レベル、つまり国政の最高レベルでの活動に関しては少なくとも2つの規制の法律がある。
その第一はロビイング規制法である。
この法律は各種のロビイストのなかでも連邦議会への直接の働きかけをする人間だけを対象としている。この法律の定義によると、ロビイストとは以下の意味となる。
「他の人々、あるいは団体を代表して通常、報酬を得て議員との直接の接触により議会に影響を与えようとする人間」
この定義が法的な狭義のロビイストなのだ。とくに「報酬を得て」という部分が職業的なロビイストの特徴を明確にしている。議員たちと直接に顔をあわせ、さまざまな方法でメッセージを伝え、働きかける。通常は議会が審議や採択する法案の内容に関して、要望をぶつけることとなる。その手法は単なる陳情の域を越えて、議会の投票決定への政治介入を試みることになる。
イスラエル・ロビーであれば、当然ながらイスラエルにとって有利な法案を支援し、不利な法案を阻止しようとする。
この記事に関連するニュース
-
「密室化」するデジタル政策形成、事業者の意向を色濃く反映…個人情報保護法見直し巡り
読売新聞 / 2024年6月25日 19時0分
-
中絶は「人類の汚点」と発言の米極右系共和党候補、態度を軟化
Rolling Stone Japan / 2024年6月22日 20時35分
-
ジョージアはロシアに飲み込まれるのか
ニューズウィーク日本版 / 2024年6月15日 14時30分
-
ジョージア「スパイ法」成立、議長が署名 NGOが提訴も
ロイター / 2024年6月3日 19時36分
-
政界を腐敗させた責任の半分は財界にある…利権を握らぬ政治家は「実力者」になれないという自民党の構造問題
プレジデントオンライン / 2024年6月3日 8時15分
ランキング
-
1瑠奈被告「私の首を絞めることが責任だ」父親「私は誰も殺しません。私にはできません」約3年間の“狂乱”の音声データ、証拠として提出…犯行認識は「おじさんの頭を持って帰ってきた」の後、娘に従うしかなかった関係を父親証言へ ススキノ首切断事件
北海道放送 / 2024年6月30日 7時11分
-
2台湾から「能登応援」被災1万世帯超に見舞金 NGO団体が配布開始
産経ニュース / 2024年6月30日 7時0分
-
3面識のない男性を“結婚相手”と思い込んだか 男性の部屋に侵入した40代の女を現行犯逮捕
STVニュース北海道 / 2024年6月30日 10時28分
-
4粗大ごみから出た現金を職場懇親会に流用、黙認した処理施設係長を懲戒処分
読売新聞 / 2024年6月29日 15時48分
-
5「異常な状況」旭川いじめ問題 再調査報告書完成も提出は保留…“黒塗りなし報告書”流出受け
STVニュース北海道 / 2024年6月30日 15時39分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください