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届かない国民の声。生きづらい日本社会を変える一歩に 映画『ヤジと民主主義 劇場拡大版』

Japan In-depth / 2023年11月28日 11時0分

▲写真 ヤジを飛ばし警察官らに排除される人(配給会社提供)





ーーあの日、ヤジが排除されたことについて監督はどうお考えでしょうか。





山﨑監督: 「安倍辞めろ」といった大杉雅栄さんは、安倍元首相に対して「首相を辞任しろ」という意味でヤジを飛ばしたのであって「人間をやめろ」という意味で言ったのではありません。人格を攻撃しているのではなく、ヘイトスピーチとも言えないのです。





ヤジはあなたの意見には納得できない、という意思表示だと思います。そういう声を排除しようとするのは、「みんな黙って聞きなさい。みんな同じ意見だよね」と強要される社会であり、非常に恐ろしいと感じています。今は多様性が大事だと言われていますが、真逆の方向に進んでしまっています。





路上は自由です。いろんな人がいていい。ヤジを飛ばしている人の横にいる人が「自分は演説を聞きたいから静かにしてもらえないか」と言い、それに対して「自分はあの政治家に一言二言伝えたい」といった市民同士の対話なりの解決があればいいが、警察が権力で、ヤジを排除し、応援する人は残す選択をするのはまずい。





また、プラカードの内容も、排除するべきものと見せても構わないもので選んでいるのも警察国家のようで恐ろしい社会だと思います。





ーーそのような恐ろしいことが起こっているのに声を上げられない、反対意見を言えない人たちが多いようですが、すでに飼い慣らされてしまっているのでしょうか。





山﨑監督: 黙って見ている人全員が何も感じていないとは言い切れません。「増税反対」と叫んだ桃井希生さんが排除されるのを心配そうにずっと近くで見ていた人や、排除される様子を動画に撮ったものを自分たちに提供してくれた人たちがいます。その場で反対意見を言ったり、行動したりしなくても、警察のやっていることはおかしいと思っている人はいるのです。









▲写真 ヤジを飛ばし警察官らに排除される人(配給会社提供)





■自己責任論の危険性





おかしいと感じている人がいる一方で、静かに演説に耳を傾けたい人々に迷惑をかけるから排除されるのは自業自得なのだ、という意見もある。匿名性の高いSNSではヤジを飛ばした人たちを非難する書き込みも散見される。そのような自己責任論について監督はどう感じているのだろうか。





山﨑監督: 先日、西武池袋本店で従業員がストをしましたが、「迷惑だ」という人もいたし、ニュースでも「消費者を置き去りにしている」といった批判的な声が伝えられていました。しかし、ストは労働者に与えられた権利です。職場を良くしたいと真っ当な権利を行使するのを迷惑だと言うことに疑問を感じます。確かに迷惑かもしれない。けれど、働く人の待遇が改善すれば、他の職場や職業でも声が上がり、労働環境が変わるきっかけになると思います。「迷惑だ」と思っている人も将来不条理な状況に直面するかもしれません。問題を放置したら、いつか自分自身に跳ね返ってくる恐れがあります。自分とは関係ない世界の話だと感じてしまうのが不思議です。









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