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消費税という壮大なインチキ(下)こんな日本に誰がした その5

Japan In-depth / 2023年11月30日 17時0分

海外旅行の経験がある読者も少なからずおられようが、空港などのいわゆる免税店では、最初からVATを除いた金額で買い物ができるし、街中の店でも、ひとまずはVATを払わされるが、出国の際に書類を提出すれば、後日振り込みで還付されることをご存じだろう。





いわば、この制度を逆用している輸出企業は、内部留保を増やし続けている。





再びフランスのVATに話を戻すと、前述のように1954年に導入された制度だが、その理由についても見ておく必要がある。





1945年以降、戦後復興のためには輸出産業を振興するのが早道だということで、時のフランス政府は助成金を出していた。





ところが1947年にGATT(関税及び貿易に関する一般協定)が成立すると、この補助金制度は自由貿易の精神に反する、と問題視されるようになったのである。





そこで考え出されたのが、商取引に間接税(=VAT)を課して財源を確保する一方、輸出企業には免税処置をとることで、事実上の特権を与えることであった。間接税とはすなわち「間接的に輸出企業を援助する税制」の意味でもあったのだ。





GATTは1995年1月1日をもって発展的に解消され、現在のWTO(世界貿易機関)となったわけだが、こうした輸出企業の免税特権だけは立派に(?)引き継がれている。





フリーランスの一人として、前回紹介したインフルエンサーに一言もの申したいのは、本当に「消費税を着服していた」のはどこの誰か、ということである。





ならばどうすればよいのか、という話だが、私は今年の新年特大号において、フランスの経済学者トマ・ピケティが『21世紀の資本』という著作の中で提唱した、金融資産に課税すべき、との税制改革案を真剣に検討すべきであると述べた。一部再掲させていただくと、2021年のデータによれば、日本の大企業の内部留保の総額は500兆円を超えている。仮にこの10%を税金として国庫に納めることができれば、国家予算の半分をまかなえて消費税は不要になるのだ、と。





この著者はまた、続編たる『資本とイデオロギー』(邦訳はみすず書房)という本の中で、1980年代以降、先進資本主義国がこぞって累進性の低い税制にシフトしたことが、格差を拡大させた原因であると喝破している。





これはまったく正論で、日本において、大企業や富裕層からしっかり税金を取り立てなかったせいで消費税の税率が上がり続けていたのだということは、データの上からも明らかなのだ。





冒頭で述べた通り、岸田首相は「増税メガネ」などと呼ばれて、支持率は低迷している。





単に増税だけが問題なのではなく、消費税を含めた日本の税制がきわめて不公正であることに、有権者は気づきはじめているのではないだろうか。





夢物語だと言われることを覚悟して述べれば、税金の役割とは国庫の財源ともうひとつ、富の再分配であるということに首相が気づいて、思い切った財政改革に乗り出すことはできないものか。





財界からは「累進課税メガネ」などと呼ばれる可能性が高いが、後世の評価はまったく違ったものになるはずである。





トップ写真:イメージ(本文とは関係ありません)出典:Hakase_/GettyImages




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