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ネットの闇はいつ晴れる(上)こんな日本に誰がした その6

Japan In-depth / 2023年12月2日 18時4分

 まず、11月13日に逮捕された「煉獄コロアキ」を名乗る40歳の男だが、9月18日に東京の帝国劇場周辺で、18歳の女性に、


「お姉さん、パパ活やってるでしょ」「お金返して、8万円」


 などと言いながらつきまとった上、女性の顔にモザイクもかけず「転売ヤー」と題してYouTuberに投稿したというもの。


 この女性がパパ活やチケットの転売をしていたという事実はなく、まったくの言いがかりであった。当人が警察沙汰になる以前、メディアの取材を受けていたのだが、チケット転売を持ちかけてきた女性と服装が似ていたので間違えた、と「自白」していた。


「訴えられても仕方ないと思う」


 などと述べていたが、事の重大性を分かっていないのだろう。


動画はすでに削除されているが、一度こうした形でネットに晒されたら、半永久的に残ってしまうもので、彼女の将来には、まず間違いなく悪影響を及ぼすだろう。


こんな「誤認逮捕系投獄ゴロツキ(これを書きたいがために、実名は伏せておいた笑)」みたいなのが、よくも今までのさばっていたものだが、それは彼らが「正義」を繰りかざしていたからだ。実際こうした「私人逮捕系」の動画に喝采を送っていたネット民もいたし、逮捕されてもなお擁護の声が聞かれるという。


もう一件は、やはり私人逮捕系を名乗る「ガッツch」を運営していた2人の男(30歳と28歳。まったく、いい大人が……)が11月20日に逮捕されたもので、容疑は覚せい剤取締法違反(所持)の教唆。


8月に、女性を装ってインターネット掲示板で一人の男性と知り合い、


「キメセク(薬物を用いながら、なにかすることであるらしい)したい」


 などと持ちかけ、待ち合わせ場所の新宿駅前まで覚醒剤を持ってくるようにそそのかした。その上で事前に警察に通報し、男が現行犯逮捕される様子を撮影したというもの。


 これもいささか誤解を招きやすい事案で、まず、教唆という罪名から「そそのかしただけ」という印象を持たれてしまいがちなのだが、本当はそうではない。刑法上、教唆犯というのはれっきとした共謀共同正犯と定義される。ヤクザの親分が殺人をそそのかした場合などが典型的な例で、実際に九州の有名な暴力団のトップに対しては、構成員に複数の民間人を殺傷させた件で、死刑判決が下されている(現在控訴中)。


 さらに言えば、これを「麻薬撲滅のための囮(おとり)捜査」として擁護する向きもあるようだが、私人にそのような権限はない。実は薬物犯罪に対しては、囮捜査が許されるのは厚生労働省の麻薬取締官だけなのである。マトリとか麻薬Gメンと呼ばれる人たちで、早い話、今次の案件は、警察でさえ許されていないことを私人がやったわけだ。


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