アメリカに広がる日本の味覚 その3「良いものは売れる」から「より良いものを売る」へ
Japan In-depth / 2023年12月6日 23時28分
柏原雅弘(ニューヨーク在住フリービデオグラファー)
【まとめ】
・韓国、中国系の店で、日本の品物を販売する店が激増してきている。
・NYのアメリカ経営スーパーの中に、突如「日本の魚屋さん」がオープン。
・世界に進出する日本の味覚を、現地に住む日本人として楽しみにしている。
輸出するならば、良いものを作って世界へ送り出すのは、昔から終始一貫した日本企業の姿勢であろう。
良い製品を作るのは日本では当たり前であって、製品の品質そのものが「日本ブランド」であるとわれわれ日本人は信じている。
かつて、ニューヨークなどでは日本の食べ物が欲しければ日本の小売店に行って買うしかなかったが、今は主に韓国、中国系の店で、日本の品物を販売する店が激増してきている。
最近の特徴として、それらは日本の店ですら扱っていないような日本の品物を扱っていることが多い。現地の「日本ブランドファン」は日本の店を素通りして、そちらに向かう。
▲写真 1980年代から「日本村」とまで言われたニューヨーク・イーストビレッジのビル。多くの日本のレストランやスーパーが入居していたが、ビルの取り壊し計画ですべて立ち退かされ、今は廃墟(筆者撮影)
かつての日本のお店のお株を奪い返すには、さらなる品揃えと値段しかないが、これが全然イケてない。
極端、と言われるくらいの円安なのに、値段は下がるどころか、以前より値段は上がっている。これはニューヨークの日系の店では顕著である。
どういう仕組みなのか知らないが、現地の韓国、中国の店は、日本の店より日本の商品の低価格化を実現して販売しているところがある(ECサイトも含む)。しかも、日本の店で扱ってない品物も多くあり、特売なども激しい。
今まではそれらの店は「日本の商品もあつかうアジア系マーケット」でしかなかったが、いまや、日本の品を買い求める時は、自分も含め、そちらにシフトし始めている。
かつてないくらいの円安で、日系ではないお店が、日本商品の低価格を実現しているのに、地元の日本人に対して、商売をする側が、円安にあやかった貢献する意志すら見せることのない、日本の店に対する反発もある(これはあくまでも個人的な意見だ)。
値下げできない日本の店の生き残りの切り札は、冒頭に書いた「日本ブランド」を前面に出すことかも知れないが、現地日本人にはますます縁遠い存在となるであろう。前回書いた1パック23ドルの日本産の「しょうが」などは、日本のブランディングその一つなのであろうが、効果的な販売法と言えるのであろうか。
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