「北」の核開発と韓国の保有論で緊張か 【2024年を占う!】国際・朝鮮半島
Japan In-depth / 2023年12月22日 17時0分
樫山幸夫(ジャーナリスト、元産経新聞論説委員長)
【まとめ】
・北朝鮮は2023年12月17、18両日、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を強行。
・国連安理議違反だが、中露の擁護、アメリカが中東、ウクライナ問題に忙殺されていることで、有効な手段がとられていない。
・韓国国内で〝自前〟で核武装すべきとの議論が台頭。2024年は別な意味での「朝鮮半島の非核化」が焦点に。
■ 北朝鮮、24年の目標は核弾頭搭載と「再突入」技術
12月17、18両日に発射されたうち、2日目のミサイルは、飛行距離1000㌔㍍、飛行時間は73分に及び北海道・奥尻島南西250キロの日本の排他的経済水域(EEZ)の外に落下した。
高角度の「ロフテッド軌道」で最高高度は6000kmとみられる。通常軌道なら射程は1万5000kmに及び、アメリカ全土がその範囲に入る。
偵察衛星などが兆候を把握することが困難な固体燃料が使用されたとみられ、固体燃料の使用は3回目。北朝鮮のミサイル技術が確実に向上していることを示している。
朝鮮中央通信は12月18日の実験について「発射訓練」との表現で論評したが、「実験」を終了、実戦に向けた〝慣熟操作〟を誇示したとみるべきだろう。
朝鮮中央通信によると、金正恩・朝鮮労働党総書記は、発射部隊を激励した際「わが国の核戦略の進化を明確に示した」と述べており、2024年もミサイル開発を継続する可能性が強い。
当面、目標とするのはミサイルに核弾頭を搭載して長距離を飛翔する技術と、大気圏に再突入して目標をとらえる能力の向上といわれる。
■ アメリカは中東、ウクライナに忙殺され・・
北朝鮮の弾道ミサイル実験は2023年12月中旬までに20回以上、22年には31回強行されている。
これらはいずれも国連安保理決議違反だが、アメリカは中東、ウクライナ問題、中国との関係改善を優先させなければならず、朝鮮半島情勢に十分なエネルギーと時間を費やすことができない状態が続いている。
国連の場では、安保理で拒否権をもつ中国、ロシアが北朝鮮に同調するため、有効な対抗策をとることが、これまた困難だ。
12月18日の発射を受けて開かれた安保理の緊急会合でも、日米などが「平和と安全に対する脅威だ」と北朝鮮を強く非難したのに対し、中露は「アメリカが攻撃的な行動をやめるべきだ」と反論。安保理としての一致した行動は見送られた。
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