金正恩、核戦争挑発露骨化と韓国総選挙介入【2024年を占う!】国際:北朝鮮
Japan In-depth / 2023年12月27日 15時0分
偶然の一致かもしれないが、この演出が始まったのは昨年10月に、米国の「国防戦略報告書」で「金正恩政権が核兵器を使用した場合政権を終わらせる」との文言が使われてからだ。この報告書が出た直後、米軍は沖縄に、無人攻撃機MQ‐9リーパーを配置した。MQ‐9リーパーは、テロ集団の指導者を除去する攻撃機として有名だ。
こうしたことから、金正恩が娘を連れ歩くようになったのは、自身に対する「斬首作戦」を避けるためだとの説がでている。米軍は子供を巻き添えにする「斬首作戦」は行わないからだ。
娘同伴のプロパガンダについては、こうした見方がある一方で、マンネリ化したプロパガンダに新しさを出すためとか、核ミサイルの開発から目をそらさせるためとか様々な見方がでているが、そうした分析とともに後継者とする準備の一環などと言う解釈も出回っている。
この娘同伴の「奇異」なプロパガンダも、斬首作戦防護用として、体制安定のための4代世襲誇示用として、また金正恩への注目度向上用として2024年も続くと思われる。
2.外部情報の遮断と住民統制の強化
2015から2022年の8年間で、北朝鮮経済がプラスに転じたのは2016年(+3.9%)、2019年(+0.4%)の2年だけだった。2023年もマイナスを記録したと思われる。来年も北朝鮮経済が回復する兆しは見えない。
韓国国家情報院の発表では、2023年の餓死者は前年の3倍に膨れ上がり、自殺者が40%も増加したという。こうした中で、当局の必死の統制にも関わらず、外部情報、特には韓流の流入が止まらず、住民、特には若者の意識変化は進行している。彼らの金正恩に対する忠誠心は年ごとに薄れている。
食糧危機拡大と韓流の流入は、2024年にも北朝鮮社会の動揺を拡大させるだろう。韓流については、「反動文化排撃法」を制定しただけでなく、更に「平壌文化語保護法」まで制定して、根絶に躍起となっているが、効果は限定的だ。年末の母親大会でも金正恩は韓流の阻止で母親たちが先頭に立たなければならないと訴えた。
新たな外部情報の流入と限界点に達した住民の不満が結びついたとき、どのような事態が発生するかは予測できない。そうしたことから、金正恩は、住民への監視と統制を更に強めるだろう。
3.核戦争挑発露骨化と韓国総選挙への介入
金正恩は、12月18日に「火星18型」(ICBM)発射を行い、12月20日には発射に参加した部隊を激励する場で、「敵が核でわれわれを挑発する場合、核攻撃を躊躇しない」と発言した。
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