社会保障が負担と給付の分水嶺になる【2024年を占う!】経済:社会保障
Japan In-depth / 2023年12月28日 7時0分
財源は①医療保険料と併せて徴収する支援金(1兆円程度)、②医療や介護の削減・歳出改革(1.1兆円)③規定予算の活用(1.5兆円)などを組み合わせる。
平たく言えば①と②は医療保険に上乗せして、医療や介護のサービスを削減するということだ。育児休業給付に充てる雇用保険の料率を微増する。歳出改革で実質負担はない、との説明だが、医療、介護保険の報酬改定アップと連動する負担増は避けられない。
■ 高齢者の負担増はさらに広がる
2022年10月、75歳以上の後期高齢者医療保険窓口負担は、単身で年金収入など200万円以上など一定所得以上の20%が1割から2割にアップした。財務当局からは原則2割の提案もある。医療費が高額になった場合に払い戻される高額療養費制度は17年度に低所得者を除く70歳以上の自己負担上限額を引き上げた。これも歳出改革の対象になる可能性がある。
介護保険も原則1割負担だが、所得によって1〜3割へ。単身世帯で年金収入と併せて年収280万円以上340万円未満は2割へ。340万円以上の65歳以上は自己負担を3割に引き上げている。2割負担アップ対象者のさらなる所得水準引き下げも検討されているが、対象者が多く、さすがに与党内では当面、見送る方針だ。
介護保険のサービスについてはすでに要支援が地方自治体の総合支援に移管されている。財務当局は軽度の介護保険適用要介護1、2についても訪問介護やデイサービスを、介護保険と切り離す移管を提案している。医療、介護保険の負担増やサービス削減は世論や与党内でも反対論が根強い。一気に進むことは難しいだろうが、これまでの議論の経過を見る限り、これからも段階的に検討が進むだろう。
■ 令和の五公五民
企業や国民が所得の中から払っている税や社会保険料の国民負担率は50%に近づいている。江戸時代に領民が領主に納める年貢の割合から令和の「五公五民」とも評される。「保険は受益給付がある」と、返されるが、それも近年は怪しくなりつつある。サービスの削減が進んでいるからだ。国民所得が上がれば負担率を下げられる。賃上げが進まず、高物価で消費が伸びないと、マイナス要因になる。
税は国家や地方財政の財源となる。社会保険料は将来のリスクに備えるためのセーフティネット。保険料の使い道は特定されているはずだが、少子化対策で、あいまいになっている。介護保険、後期高齢者医療保険は財政の半分が税金だ。現役世代も健保組合、40歳以上の介護保険料、雇用保険料率負担が増える。税も保険料も国民のサイフから出るお金は同じだ。
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