個人消費は伸びず【2024年を占う!】国内景気
Japan In-depth / 2024年1月2日 11時0分
で、そのEVなのだが、日本ではトヨタがEVに本腰をいれてないこともあり、全販売台数の中のEVのシェアは微々たるもの。そうしたなか、日産自動車の軽EV「サクラ」が売れている。1年間で約5万台も売れたという。
軽自動車は日本独自の規格なのだが、「サクラ」が売れているのはやはり景気の問題が大きいと思う。まずガソリン価格が高止まっているし、ガソリンスタンドの数も減少している。都内でも減っているが、地方に行ってレンタカーを借りると、ガソリンスタンドが減ったことを実感する。毎日遠出しないのなら、自宅で充電すれば良い軽のEVは理にかなっている。ホンダも今年軽のEV商用車を販売する予定だという。実用的な消費傾向が強まっているのだ。
また、家電量販店で売れているのは、着る電気毛布やベスト、足元を暖めるパネルヒーターなど、小物暖房家電だという。ここにも節約志向が見て取れる。
■ 厳しさ増す中間層
ここまで見てきた最近の個人消費動向から見えてくるキーワードは、「生活防衛」だ。しかし、そんな消費者の涙ぐましい努力を吹き飛ばすような環境変化が起きている。
それが、税や社会保障費の負担増だ。
インボイス制度は中小企業や個人事業主の負担となる。取引相手がインボイス事業者でない場合、発注元が消費税を負担しなければならないというとんでもない制度でもある。又、パート・アルバイトの社会保険の加入条件が、2024年10月から従業員数51人以上(従来は101人以上)に引き下げられる。これも中小企業にとっては重荷だ。
大企業の賃金は上昇傾向にあるが、その分、従業員が払う税・社会保険料は上がる。「ブラケット・クリーピング」という現象だ。インフレが続くことで名目所得が増大し、所得階層区分(ブラケット)が上がり税負担の増えることをいう。少しばかりベアが上がっても帳消し、ということが起こりうる。ほかにも、40歳以上に加入が義務づけられている介護保険の保険料が、2024年度から年間合計所得が420万円以上の層で引き上げられる。
また、2024年は日銀がマイナス金利の解除に踏み込むと予測されているが、そうなると住宅ローンの変動金利が上昇し、多額のローンを組んでいる中間所得層を直撃する。
ここまでみてきて、個人消費が上向くとはとても思えない。消費者はむしろ財布のひもを締めるだろう。
2024年は景気が腰折れするリスクと隣り合わせだ。岸田政権は自民党の裏金疑惑で大揺れに揺れているが、真っ先にやることは景気対策だ。
Japan In-depthは、今年も新聞テレビが報じないニュースの深層を読者に提供していく。
トップ写真:銀座4丁目交差点(2023年12月1日東京・中央区)ⒸJapan In-depth編集部
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