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ボストン・ウェルネス通信 その2 人気の痩せ薬、驚くほどたくさんの人が治療を中止する理由

Japan In-depth / 2024年1月12日 17時0分

ボストン・ウェルネス通信 その2 人気の痩せ薬、驚くほどたくさんの人が治療を中止する理由




大西睦子(米国ボストン在住内科医師)





【まとめ】





・減量目的で痩せ薬を始めた患者で、1年後も継続しているのは3人に1人未満。





・自己判断で治療をやめてしまうと、体重が元に戻り、糖尿病や高血圧が悪化する。





・ライフスタイルの改善とともに薬を中止できるかもしれないが、医師の診察が重要。





 





前回の記事に引き続き、今回も話題の痩せ薬のお話です。米国では、ノボ ノルディスク社の肥満治療薬セマグルチド(商品名ウゴービ)、2型糖尿病治療薬で減量効果のあるセマグルチド(商品名オゼンピック:ウゴービよりもセマグルチドの用量が少ない)、イーライリリー社の2型糖尿病治療薬で減量効果のあるチルゼパチド(商品名マンジャロ)が人気です。





ところで、これらの治療薬で「どれほどの人が、どれだけの時間で、どのくらい体重を減らせる」のでしょうか?また、どれほど「セマグルチドとチルゼパチドの効果の違い」はあるのでしょうか? 2023年11月に、未査読ですがこれらの疑問に答える論文が報告されました(1)。





●チルゼパチドvsセマグルチド、どちらが減量に効果的!?





米国30の医療システムが所有・運営するデータ分析会社トゥルベタ社は、大規模集団からデータを集めて両薬を比較しました。ちなみに、この研究は製薬会社からの支援は受けていません。





調査は、2022年5月から 2023年9月までに、セマグルチドまたはチルゼパチドのいずれかを開始した、4万人を超える過体重または肥満の患者から始まりました。52%が2型糖尿病を患っており、残りの48%は糖尿病の病歴が医療記録に記載されていなかったため、CNNによると研究者らは、おそらく医師の裁量で、減量のみを目的として適応外薬を処方されたのではないかと推論しています(2)。





すると、治療開始1年後、セマグルチドよりもチルゼパチドで減量効果がありました。





5%以上減量:チルゼパチド投与群82%、セマグルチド投与群65%





10%以上減量:チルゼパチド投与群62%、セマグルチド投与群38%





15%以上減量:チルゼパチド投与群42%、セマグルジド投与群19%





また試験中、両薬とも同様の消化管の副作用が報告されました。ただしこの研究は、2型糖尿病の治療に承認された用量のみを対象としていたため、結論が限定される可能性があります。米国食品医薬品局(FDA)は、減量のための高用量のチルゼパチド(商品名ゼップバウンド)とセマグルチド(商品名ウゴービ)を承認しました。





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