「AI人民解放軍」の本当の脅威 続【2024年を占う!】その3
Japan In-depth / 2024年1月16日 18時0分
間一髪、魚雷はかわしたが、船体をかすめた際に通信用のアンテナが損傷してしまい、次なる指令が途中までプリントされたところで途絶えてしまう。
その結果、即時核攻撃を主張する館長と、まずは通信の復旧に全力を挙げるべし、とする副長が対立。「内戦」が勃発することになる。
ここでもネタバレを避けるべく、こうした戦術上の対立にとどまらず、人種間の軋轢なども描かれ、単なる戦争映画の枠を超えた、骨太の人間ドラマが楽しめる、とだけ述べておくが、要は、AIの判断を人間がダブルチェックしたとて、絶対安全とは言い切れないのだ。
別の問題もある。
私自身も最近知ったことだが、中国軍は目下、ミサイルが飛行中に、グラスファイバーで出来た籠のようなものを展張し、敵のレーダーをあざむく技術を開発中であるらしい。グラスファイバー製の籠の中に本体がある、というに近い状態で飛翔するため、レーダー画面では、大型旅客機のように映ってしまう。敵にしてみれば、誤って民間機を撃ってしまうリスクを避けねばならず、迎撃までの時間にロスが生じることとなるというわけだ。
これで思い出されるのが、1983年9月1日に起きた、大韓航空機撃墜事件である。
ニューヨークを発ち、アンカレッジを経由してソウルに向かった大韓航空007便が、ソ連邦の領空を侵犯した。その原因については諸説あるが、自動操縦装置に緯度と経度を入力した際、電卓の打ち間違いのようなミスが生じたのではないか、と見る向きが多い。実際、その前提で飛行航路をシミュレーションしたところ、007便の航路と一致したとも聞く。
ともあれ007便はフライトプランを逸脱してソ連邦の領空を侵犯してしまい、防空軍の迎撃戦闘機がスクランブルをかけた。
最初に接触したスホーイ15TMは、闇夜で機種の識別は不可能であったが、航法灯と衝突防止灯が点灯していることを報告している。
つまりこの時点で、ソ連邦防空軍の側では、民間機ではないか、と疑って然るべきであったのだが、米軍の偵察機であろう、との判断に従い、二度目に接触したミグ23に対して、撃墜命令を出したのである。一応、ミグ23は警告射撃も行ったが、曳光弾を搭載していなかったため、効果がなかった(007便のパイロットが気づかなかった)ようだ。
この結果、乗員・乗客合わせて269人の命が失われた。米国からの帰路にあった(西日本に住む人の場合、ソウル経由の方が早くて安い、とされていた)日本人乗客28人も含まれている。
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