年越しの風情くらいは残したい 続【2024年を占う!】その5
Japan In-depth / 2024年1月20日 23時0分
林信吾(作家・ジャーナリスト)
林信吾の「西方見聞録」
【まとめ】
・除夜の鐘、近隣住民からのクレームが来るらしい。
・風情ではなく騒音だと受け取るのは、いささか寂しい。
・年末年始くらいは、もう少しおおらかな気持ちで過ごしたい。
昭和の時代、私のように東京で生まれ育った者でも、大晦日の夜はNHKで『紅白歌合戦』と『行く年来る年』を見て過ごすものと相場が決まっていた。
昭和の時代と言っても、最後の方は日本にいなかったのだが、知人が衛星放送を録画し、そのビデオを借りて別の友人らとみたことはある。1992年放送分で、米米CLUBというバンドの存在を初めて知った。結成は1982年と資料にあるが、翌83年に日本を離れているので、その後の活躍ぶりは知らなかったのだ。彼らの紅白初出場が1992年なので私の記憶は確かだが、考えてみるとすでに平成になっていたことになる。
ここ10年あまり、私は紅白歌合戦について、
「見る気もしないが、やめろと言うつもりもない」
というスタンスを取っている。見る気もしない、というのは「積極的には」という意味で、親族との年越しでは、BGMのようにTVの音声が流れているから、その年のヒット曲などは一応見る、といった程度だ。
やめろと言うつもりもない、とは要するに、見たい人もいる一方、見ない自由もあるのがTVなのだから、放送中止を主張するなどと、無駄な元気を出す気にもなれないので、それ以上でも以下でもない。
2023年の紅白は、新しい学校のリーダーズが紅組トップバッターに抜擢された。
女の子の4人組だが、翌日、つまり元旦早々に、震災のニュースに混じって、
「いきなりスカートめくれた、とネット騒然」
などと報じられていたのには呆れた。
おそらく地震発生以前に配信されたものであろうから、不謹慎だなどと言うつもりもないが、そもそも騒ぐようなことか、とは思った。
『オトナブルー』という楽曲だが、衣装がセーラー服で、歌い出しのところで脚を大きく広げる振り付けになっているだけの話である。さすがNHKの紅白と言うべきか、YouTubeなどに比べればおとなしい演出だった。中学校の生活指導教員みたいに目くじらを立ててどうするのか。
一方では、初出場とは思えない肝の据わり方、などと評価する声もあったようだが、たしかに唄いながら白組司会者(有吉弘行)を軽くいじったり、トップバッターとしては、いい仕事をしたと私は思った。
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