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医師の働き方改革

Japan In-depth / 2024年1月24日 9時47分

この医師が移籍できなかったのは、後期研修制度が存在するからだ。2018年に開始されたこの制度は、日本専門医機構が承認したプログラムに従い、同機構が定めた病院で勤務しなければならない。病院を移籍することは、プログラムからの離脱を意味する。専門医資格を諦めるか、資格を取得するためには、他の病院で最初からトレーニングを始めなければならない。





日本の問題は、日本専門医機構が独占的地位にあることだ。2023年度に機構が認定する研修プログラムに参加した医師は9,325人だ。21年の医師国家試験合格者は9,058人だ。初期研修を終えた医学部卒業後3年目の医師のほぼすべてが参加していることになる。





この状況は米国とは対照的だ。若手医師の9割以上が、American Board of Medical Specialties(ABMS)の専門医資格を取得しているが、American Board of Physician Specialties(一部の州で認められている)やAmerican Osteopathic Association Bureau of Osteopathic Specialistsなど、他にも認定組織が存在するため、医師はこれらの組織が提供するプログラムに移行する選択肢を持っている。





日本専門医機構とは、一体、どんな組織だろうか。それは、日本内科学会や外科学会などの医学会の連合体だ。医学会は本来、学術のための交流の場で、仕切るのは大学教授たちだ。日本内科学会の場合、役員の全てが大学教授である。





大学教授は、日本の医師のごく一部に過ぎず、彼らが専門医制度を運営すれば、彼らの都合が優先される。彼らにとっての問題は、大学病院の経営状態が悪いことだ。国立大学病院長会議の2023年8月の調査によると、42大学のうち、病院の収支が黒字か収支均衡と見込むのは9大学にとどまり、33大学が合計318億円の赤字を見込んでいた。





なぜ、大学病院の経営が悪いのか。それは大学病院が得意とする高度医療の需要が減っているからだ。例えば、外科手術の場合、厚労省が3年ごとに実施する「医療施設調査」によれば、2000年代に入り、年平均で5%増加していた手術数が、2017年の調査では2.1%増にペースを緩め、2020年には減少に転じた。これは、このような手術の主な対象である若年人口、特に前期高齢者人口の減少が大きい。65から74才の人口は2018年には1740万人だったが、2022年には1687万人に減少している。





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