ちょっと風変わりなアメリカの「節分」
Japan In-depth / 2024年2月4日 14時36分
柏原雅弘(ニューヨーク在住フリービデオグラファー)
【まとめ】
・「グラウンドホッグ・デー」、冬眠から目覚めたグラウンドホッグの様子で春の訪れを占うイベント。
・19世紀、ドイツ移民が多いペンシルベニア州のパンクサトーニーが起源とされる。
・風変わりなアメリカの「節分」。今年の春の訪れは早そうだ。
NYはここのところ、ずっと天気が悪い。テレビの天気予報によれば、1月23日以降、2月2日までの10日間、くもりか雨で、太陽は一回も顔を出していないそうだ。
今日はアメリカで「グラウンドホッグ・デー」と呼ばれる日で、朝からメディアがにぎやかである。
リスの仲間であるグラウンドホッグ(ウッドチャック、というリス科のマーモットの一種)が冬眠から目覚め、その様子を観察することで春の訪れがいつになるかの「ご託宣」を求める、というイベントの日である。
冬眠の巣穴から出てきてグラウンドホッグが、自分の影を見る(=晴れている)と驚いて巣穴にもどってしまう(=まだ冬眠がつづく=春の訪れはまだ先)、とされ、巣穴から出てきて影を見ない(=曇っている、天気が悪い)場合は、巣穴への冬眠には戻らず、春は間近、とされる。
一種の占いとも言える習慣をイベント化したもので、日本ではさほど報じられないが、アメリカでは、1月も終わり、春の訪れを感じる事のできる最初のイベントとしてそこそこの存在感がある。
このイベント、いつから始まったかというと、ペンシルベニア州のパンクサトーニーというドイツ系の移民が多い町で、19世紀後半、地元の新聞社が仕掛け人として、古いドイツの習慣をもとにしたイベントとして考案、この日を「グラウンドホッグ・デー」としたという説が有力である。
その後、カナダも含めた北米各地で「パンクサトーニーに続け」とばかりに毎年類似イベントが行われ、以来100年以上もの間「ウチが元祖」という本家争いにまで発展したという。
だが、結果、ずっと続いたパンクサトーニーの「本家本元」を主張する熱心なキャンペーンが功を奏して、今日ではパンクサトーニーのイベントが世界でも有名になった。
▲写真 第137回グラウンドホッグデーに集まる民衆(2023年2月2日 アメリカ・ペンシルベニア州パンクサトーニー) 出典:Michael Swensen/Getty Images
パンクサトーニーが本家として決定的に有名になったのは、1993年のビル・マーレイ主演の映画「Groundhog Day(邦題:恋はデジャ・ブ)」のヒットである。映画のヒットにより、舞台になったパンクサトーニーを訪れる観光客が爆発的に増え、それ以前は人口6,000人あまりの町の森の中(グラウンドホッグが住んでいる)に2,000人程度が集まる小さなイベントに過ぎなかったグラウンドホッグ・デーであるが、今では毎年、世界中から関連イベントも含めて数万人の人々と、マスコミが押し寄せるイベントに成長したという。
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