雪を守れ!スキー場の電力100%を再エネ化
Japan In-depth / 2024年2月5日 11時37分
安倍宏行
【まとめ】
・北海道ニセコのスキー場などが使用電力の再エネ化に取り組んでいる。
・積雪発電で雪を溶かす実証実験も実施。
・世界に愛される日本の雪山を守る活動が全国に広がっていくことを期待。
そこは外国だった。
北海道ニセコのことである。うわさには聞いていた。しかし、聞きしに勝るとはこのこと。百聞は一見にしかず、である。
まず、新千歳空港からスキーバスで3時間半もかかるというのが想定外だった。どれだけ遠いんだ?
午前10時発のバスに乗り込むと、車内はほぼ外人。隣に座ったのはロスから来たアメリカ人のパトリック。聞けば米航空会社の経理部門で働いているという。若い。どう見ても20代だろう。先乗りしている友人と合流するのだそうだ。帰りのバスの隣人もやはりアメリカ人のテイラー。ITコンサルタント、25歳。彼はノースカロライナ州のシャーロットから来た。スノーボーダーで世界中の山で滑っているが、ニセコの雪は世界一だと褒めちぎっていた。JAPOW(Japan Powder:日本のパウダースノー)の面目躍如だ。東京経由で翌週はスイスに滑りに行くと言っていた。
写真)ニセコ東急グランヒラフスキー場 2024年1月17日 北海道倶知安町ⒸJapan In-depth編集部
そんなニセコスキー場に来ているスキーヤー、スノーボーダーを見ると、オーストラリア人やアメリカ人などが8割、台湾人や他のアジアの国の人が2割といったところか。日本人の自分にもカフェやレストランの日本人店員が英語で話しかけてくる。もはや海外リゾートに来た気分だ。いや、もはや外国。
さて、ニセコに何しに来たのかというと、滑りに来たわけではない。このスキー場の使用電力100%が再生可能エネルギー化されていると聞いたので興味を持ったのだ。しかも、雪で発電する技術も実験中と聞いたら、見に行くしかない。
写真)蝦夷富士(えぞふじ)の名を持つ「羊蹄山」がそびえる 2024年1月17日 北海道ニセコ町 ⒸJapan In-depth編集部
■ スキー場使用電力再エネ化の背景
スキー場の電力再エネ化の背景にあるのは、ずばり地球温暖化だ。世界規模の気温上昇や、それに伴う降雪・積雪の減少と雪質の変化など、スキー場をはじめとするスキーリゾートは近年、深刻な状況に追い込まれている。
全国に7つのスキー場を保有する東急リゾーツ&ステイ株式会社は、2022年12月に全施設の使用電力を、東急不動産株式会社の再エネ発電所を活用することで、100%再エネへの切り替えを完了した。
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