ちょっと待て「森保監督解任!」 失敗から学ぶことは多い その5
Japan In-depth / 2024年2月23日 11時0分
森保監督自身、敗因は「私の選手交代のミス」とコメントしていたが、確かに納得しかねる采配であった。
攻撃の起点として機能していた久保建英、さらには左ウィングで起用されたが、
「彼にはポジションという概念がないのでは」
などと揶揄されるほど、フィールド狭しと走り回って、イランの選手に脅威を与え続けた前田大然を下げ、三苫薫と南野拓実を投入。その一方で、前半から相手に出し抜かれるなど、本来のコンディションではなかったのでは、と思われた板倉滉を後退させなかった。板倉はイエローカードを1枚受けており、もう1枚受けたら退場の上、次戦の出場が禁じられるので、なおさらこの采配には疑問が残った。
先取点を奪われた後のイランは、前述の二人のパフォーマンスを見て、前線(彼らにとっては自陣)および中盤でのボールの奪い合いでは不利になるだけと悟り、中盤を省略して日本陣内深くまでロングボールを蹴り込み、あとは前線の選手たちの高さと速さに賭ける、というパワー・サッカーに切り替えてきた。
日本はもう何年も、こういうサッカーをする相手との戦い方がよくないと、課題を指摘され続けてきたのではなかったか。
勝手な想像を発信して申し訳ないが、監督も中心選手たちも、ワールドカップで世界を驚かせ、その後も親善試合でドイツ、トルコを撃破した「成功体験」にとらわれてしまっていたのではないだろうか。そう考えて初めて、あの選手交代も納得が行く。
いずれにせよ、森保監督に対する批判が噴出し、監督交代を求める声がネットにあふれたが、私はあえて、ちょっと待て、と言いたい。
1990年代、具体的には98年のワールドカップ・フランス大会で惨敗した後、前述のフィリップ・トルシエが招聘されるまでの数年間だが、目まぐるしいほどに監督交代が繰り返されたし、それで少しでも強くなったのかと言えば、とても然りとは言えなかった。いつか来た道だと冒頭で述べたのは、このことも念頭にあったからである。
本連載をずっと読んで戴いている方からは、疑問の声が出るかも知れない。
カタールでのワールドカップで結果を出し、次の大会まで森保監督で行く、と発表された際に、異議を唱えたのではなかったのか、と。
たしかに私は、そのように解釈されるであろうことを述べた。ただしそれは、協会の監督人事があまりに安直ではないか、との主旨である。
もうひとつ、森保監督に対してはその手腕より、国際経験の乏しさが不安であった。
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