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地下鉄サリン事件を風化させるな

Japan In-depth / 2024年3月21日 0時18分

その時、一人の新聞社のカメラマンが私たちの方に駆け寄ってきて叫んだ。「たくさん人が駅で倒れている。大変なことになってるぞ!煙が出たとかいう話もある」





みな顔を見合わせた。「トンネル火災か?」ふとそんな思いが脳裏をよぎる。しかし、自分たちはまもなく営業開始する新銀行の取材に来ている。この現場を離れるわけにはいかない・・・。動こうとしない私たちに向かってそのカメラマンは畳みかけるようにこう言った。「とにかく、早く行ったほうがいい!」そう言うや否や、彼はまた駅の方へ駆け出すではないか。





そのただならぬ雰囲気に気圧されるように、私たちは一斉に脱兎のごとく彼の背中を追った。神谷町の交差点まで100メートルくらいだったろうか、駅の地上出口に辿り着いた私は目を見張るしかなかった。





そこには10数人の人が横たわったり、へたり込んでいた。異常な雰囲気から直感的に、これは単なる火災とかではないな、と思った。みな口をハンカチで抑え、ぐったりしている。すすり泣くような声やうめき声も聞こえてくる。中にはもがき苦しみ、地面を転がり回る外国人の姿も。見ると白目を剥き、口元から泡を吐いて、意識がほとんど無い。こんな症状を見たことなかった私は動転した。









▲写真 東京メトロ駅構内で応急手当を受ける乗客。テロ発生直後の様子と思われ、誰も撒かれたのがサリンだと知らず、マスクもしていない 出典:noboru hashimoto/Corbis via Getty Images





フジテレビのカメラマンはまだ到着していない。午前8時半あたり着で発注していたからだ。そうこうしている間に他社はどんどん取材を進め、カメラを回している。焦る。





そうこうしているうちに警察が規制線を張り始めた。メディアは追い出された。その時私は中にいる警察官だったか消防官に叫んだ。「あの外国人の通訳が出来ます!」「よし、中に入って!」





ようやくカメラマンも到着した。同期だった。苦しむ外国人に声をかけた。「何を吸い込んだんですか?色は?透明でしたか?」矢継ぎ早に英語で質問したが、彼は話すことすらできない。「このまま亡くなってしまうのではないか・・・?」背筋が寒くなる。





後で分かったことだが、サリンは新聞紙に包まれ、オウムの実行犯は足元に置いたその包みを傘で刺して中のサリンを車内に拡散させた。





その包みを見た、という女性も現れた。その人は包みのすぐそばにいて「何だろう、と思った」と私のインタビューに答えた。





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