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深刻な東北地方と首都圏の医師不足 西日本から東日本への医師の移動が必要

Japan In-depth / 2024年3月25日 17時3分

深刻な東北地方と首都圏の医師不足 西日本から東日本への医師の移動が必要




上昌広(医療ガバナンス研究所理事長)





「上昌広と福島県浜通り便り」





【まとめ】





・各都道府県の医師数、東京を除き、圧倒的な西高東低。一方、福島県では東日本大震災以降、東京や西日本出身の医師が大勢働き始めた。





・東北地方の医療が連鎖崩壊しかねず、東北地方と首都圏の医師不足は表裏一体。





・西日本から東日本への医師の移動、海外からの医師の招聘、オンライン診療の活用、看護師への権限委譲など、総合的な対応が必要。





 





3月19日、厚労省は「令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」を公表した。2年に一度発表される医師数や勤務状況に関する公式統計だ。





本稿では、この統計を用い、福島県の医師不足について解説したい。





まずは、人口10万人あたりの医師数だ。福島県は218.7人で、全国平均262.1人の83.4%である。47都道府県中41番目で、埼玉県(180.2人)茨城県(202.0人)、千葉県(209.0人)、新潟県(212.8人)、岩手県(218.5人)に次いで少ない。





ちなみに、最も多いのは徳島県(335.7人)で、高知県(335.2人)、京都府(334.3人)、長崎県(327.6人)、東京都(324.6人)と続く。図1に各都道府県の医師数を示すが、東京都を除き、圧倒的な西高東低の状況にある。









▲図1 人口10万院当たりの医師数(医療ガバナンス研究所作成)





医師数が西高東低で偏在するのは、医学部が西日本に多いからだ。人口約370万人の四国には4つの医学部があるが、人口約4400万人の首都圏には19しかない。首都圏の人口あたりの医学部数は四国の約4割だ。





国公立大学に限定すれば、格差はさらに拡がる。四国の医学部は全て国立大学だが、首都圏の国公立大学は4つしかない。四国の12分の1となる。サラリーマンの子弟が医学部を目指す場合、首都圏と四国では全く難易度が違う。





地域の医師数は地域の医学部数と相関する。





図2は人口当たりの医学部定員数と医師数の関係を示すが、一目瞭然だ。









▲図2 2022年、人口10万人当たりの医師数と医学部定員数(医療ガバナンス研究所作成)





本稿では詳述しないが、この格差は西国雄藩が徳川幕府を倒した戊辰戦争の戦後処理などが関連しており、容易には解決しない。医師数、ノーベル賞受賞者から高校野球の強豪まで西高東低の形で偏在するのは、我が国の教育資源が西高東低の形で偏在するからだ。教育資源の偏在は、人材の偏在を再生産し、格差を固定する由々しき事態であるが、メディアは「東京一極集中」で思考停止してしまう。





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