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知られざる「英露戦争」について 3年目に入ったロシア・ウクライナ紛争 その4

Japan In-depth / 2024年3月26日 23時0分

知られざる「英露戦争」について 3年目に入ったロシア・ウクライナ紛争 その4




林信吾(作家・ジャーナリスト)





林信吾の「西方見聞録」





【まとめ】





・ロシアのウクライナ侵攻は、NATO加盟国にも大きな影響を与えている。





・仏マクロン大統領、2月下旬「地上部隊を派遣する可能性を排除しない」と発言。





・ロシアとフランスとの軋轢は、今のところ「舌戦」の段階にとどまっている。





 





ロシアによるウクライナ侵攻は、当然ながらヨーロッパのNATO加盟国にも大きな影響を与えている。





中でもフランスのマクロン大統領は、まず2月下旬に





「ウクライナ支援のため、地上部隊を派遣する可能性を排除しない」





と発言。欧米諸国の指導者たちを仰天させた。これまでハト派のイメージが強かった指導者だけに、第三次世界大戦の引き金を引きかねない「参戦」を口にするとは……





米国政府は即座に「派兵はあり得ない」とのコメントを発表し、ドイツのショルツ首相ら西欧の指導者たちからも、否定的な発言が相次いだ。





フランスの政治ジャーナリストたちは、政敵である極右のルペン氏が、かねてからプーチン大統領と昵懇で、政治資金調達のためにロシアの銀行から融資を受けたり、インフレ脱却のためとして、ロシアに対する経済制裁の緩和を主張するなどしたことから、政治的な対立軸を鮮明にしたかったのではないか、と見ているらしい。





その詮索はさておいて、収まらないのはロシア政府で、ビョートル・トルストイ下院副議長などは、





「ウクライナにフランス兵が派遣されたら、一人残らず三色旗を掛けられた棺に入って、パリに戻ることになる」





とまで言った。ちなみにこのトルストイ氏は、文豪レフ・トルストイの玄孫(やしゃご)であるとのこと。





名作『戦争と平和』は、ナポレオン麾下のフランス軍によるロシア遠征を背景として(!)、ロシア国民が総力戦で侵略者を撃退する物語ではある。とは言え「戦争は最も愚劣な行為」とのメッセージが繰り発せられていることを忘れるべきではない。まして、フランス兵を皆殺しに……などとは、子孫のこの発言を聞いたら、文豪も草葉の陰で嘆くのではないか。





漏れ聞くところによると、プーチン大統領はこの小説を「自分がもっとも影響を受けた作品」と賞賛しているらしい。息子の戦死を伝えられた両親が泣き崩れる場面だけでも、もう一度読み直すべきであろう。





いずれにせよロシアとフランスとの軋轢は、今のところ幸いにも「舌戦」の段階にとどまっているが、NATO全体として見ると、いささか趣が異なっている。





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