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ボストン・ウェルネス通信 その6:閉経は、単なる健康的な加齢の一部

Japan In-depth / 2024年4月2日 23時0分

1960年代半ばまでに、英国の50〜64歳の女性の約3分の1がHRTを服用するようになり、この層で最もよく処方される薬となったのです。一方、低・中所得国では、一般に閉経は自然な老化現象の一部と考えられており、月経が止まるなどの利点があるためHRTがもたらす恩恵は小さいとみなされました。 





ところが2002年、大規模な無作為化プラセボ対照試験が、『全身性の合剤MHTによる乳癌リスクが高まる』という所見により早期に中止され、さらにエストロゲンのみの MHTでは、最も重要な評価項目の「冠状動脈性心疾患における効果が不十分」であり、「脳卒中のリスクが増加」しました。





そして、MHT 使用の減少に続いて、一部の国では乳がんの発生率が減少し、他の国では骨折のリスクが増加しました。





その後、ほとんどの国でMHTの利用率が以前のレベルに戻ることはありませんでしが、英国では、2020年から2022年にかけて、特に最も裕福な地域の女性において、MHTの使用が約60%増加しました。この使用増加の理由は不明ですが、更年期障害に対するメディアの注目が微妙に高まったことを反映しているのかもしれません(7)。





ランセットに専門家からは、以下のように警告します。





既得権益を持つ営利企業や個人は、更年期障害を過剰に医療化しています。この自然な移行期間を、不足しているホルモンを補充することによってのみ緩和できるエストロゲン欠乏症の病気であるという枠組みは、閉経に対する否定的な態度を助長し、偏見を悪化させます。さらに、リスクを軽視しながら、女性が自分の体のコントロールを取り戻す力を与える方法としてMHTの利用を位置づける営利団体によるフェミニストの物語の流用は、更年期を病気と決めつけることをさらに助長します(8)。





ランセット共著者のメルボルン大学マーサ・ヒッキー教授はSTATニュースに、「私たちは子供にホルモン剤を与えようとは思いません。なぜなら、彼らは年をとるとそれらのホルモンを分泌するようになるから。ところがホルモン補充療法は、ホルモンレベルの変化が女性の人生の一部にすぎないと認めるのではなく、女性が若い頃に持っていたホルモンを女性に与えるものです」「年配の女性は、単に若い女性のエストロゲン不足版ではありません」と語ります(9)。





●過大評価された更年期のうつ病リスク





さて、更年期は精神的な苦痛を引き起こすという考えが広く信じられてきました。ところが、ランセット報告で、これまでに発表された、更年期の移行とうつ病の関連を調査した12件の研究のレビューによると、この通説は実証されていません。





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