ボストン・ウェルネス通信 その6:閉経は、単なる健康的な加齢の一部
Japan In-depth / 2024年4月2日 23時0分
12件の研究のうち2件が閉経に伴い抑うつ症状が増加すると報告していますが、3件ではそのような増加は認められず、残りの7件の結果はまちまちでした。そこでランセットに専門家らは、閉経移行期においてすべての女性で不安、双極性障害、精神病、自殺のリスクが増加するという確固とした証拠はないと結論づけました。
ただし、専門家らは、特定のグループ「過去にうつ病や抑うつ症状がある人、夜間のほてりによって睡眠がひどく妨げられた人、閉経前後にストレスの多い出来事を経験した人」は、閉経期にうつ病の症状を報告するリスクがより高いことを見出しました。
共著者でボストンのブリガム・アンド・ウィメンズ病院精神科ハディーン・ジョフィ博士はニュースリリース(10)で、「更年期について、メディアは否定的なイメージをもっていますが、更年期以前のメンタルヘルスを調べずに、ライフステージや人生の軌跡ではなく、何が更年期と生物学的に関わっているのかを理解することはとても難しいです」「これまで一度も大うつ病にかかったことがなければ、更年期移行期に臨床的うつ病の初回症状が出る可能性は極めて低いでしょう」「臨床医は、うつ病が閉経と重なっていても無関係かもしれないので、それ以前に何があったかを考える必要があります」と語ります。
「更年期は4年から10年続くことがあり、47歳頃から始まる傾向がある」と研究者たちは背景について述べています。
●特別なケアが必要な女性もいる
ランセットによると、自然閉経の平均年齢は、高所得国では51歳。また2014年の報告で、アジア、インド、ラテンアメリカ、中東にまたがる低・中所得国では閉経年齢が早いことが示されました(11)。
がんに罹患すると、早発(40歳未満)または早め(41~44歳)に閉経をむかえる可能性が高まります。がんを克服した女性患者を対象とした45の研究の2017年の分析結果では、閉経年齢の中央値は44歳でした。そして、閉経年齢が若いことが慢性疾患の危険因子となりうることを示すエビデンスが急増しています。
がんに罹患した後の閉経を診断することは難しい場合がありますが、多くの女性は化学療法終了後2年以内に月経が再開します。ただし、30ヵ月後に抗ミュラーホルモン(卵巣の予備に羽を評価)を検出できない場合、乳がんの化学療法後の閉経が予測され、卵巣放射線照射後は、ほぼ普遍的に閉経をむかえます。
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