アメリカにとっての中国の脅威とは
Japan In-depth / 2024年5月9日 14時23分
(4)アメリカ国内での中国共産党の悪意ある影響工作を防ぐ
中国共産党はアメリカ国内の多数の地域社会への影響工作を試みており、その標的には私(ムーンレナー委員長)自身のミシガン州の選挙区も含まれる。同選挙区内に中国の大手電池製造企業の「国軒高科」のアメリカ子会社Gotionが電池部品製造工場を建設しようとしている。中国共産党が完全に支配する企業の工場をアメリカ国内に建設することに対してトランプ前政権のペンス前副大統領らは議会証言で反対を表明した。中国企業への依存の増大だけでなく、中国側はこの種の拠点を米側一般国民への政治工作にも利用するという理由からの反対だった。現に中国当局はアメリカ国内に独自の警察機構を開設し、対米政治工作を進めている。
(5)中国共産党の政治宣伝に対抗する
中国共産党はアメリカの政治家、実業家、そして若者に影響を及ぼそうとしている。たとえばTikTokとそのアルゴリズムにより最近では米側の数百万人もの若者の認識を操ってきた。昨年はTikTokは多数のアメリカ人に対してハマスの正当性を説き、ウサマ・ビンラーディンを賞賛し、TikTokの規制に反対する意向を地元選出の連邦議員たちに伝えることを訴えていた。この種の行動はアメリカの国益を侵害し、建国の精神たる自由民主主義に違反する。この中国特別委員会は私のリーダーシップの下でアメリカとその同盟諸国に対する中国共産党の軍事的、経済的、政治的な侵略と戦い、勝利をおさめることを誓う。アメリカはこの中国との競合に勝たねばならないのだ。
以上の5項目をムーンレナー新委員長は当面の基本戦略として強調するのだった。そのなかにはアメリカの同盟諸国、つまり日本などの防衛増強も含まれる点は当然とはいえ、注視しておいてよいだろう。
*この記事は日本戦略研究フォーラムのサイトに掲載された古森義久氏の論文の転載です。
トップ写真:TikTokのCEOショウ・ジー・チュウ氏が、米上院司法委員会で証言する(2024年1月31日 米国ワシントンD.C.)出典:Anna Moneymaker/Getty Images
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