沖縄県議選、「オール沖縄」は生き残れるか
Japan In-depth / 2024年6月12日 14時0分
<県民の主な関心は、基地問題から生活と経済へと移っている>
1990年代後半以降四半世紀にわたり、普天間飛行場の辺野古崎への移設問題を中心に、基地問題が沖縄の政治の争点になってきた。特に、故翁長雄志氏が辺野古移設反対を旗印に、保革にまたがる「オール沖縄」を形成して知事に就任した(2014年)時期には、国の政策を激しく非難する声が沖縄全体を覆い、旋風を巻き起こした。だが、代替案を提示しないなど、現実的な政策を追求しなかったため、感情ベースの辺野古反対運動は沈滞し、翁長知事(当時)のもくろみは空回りする。
時間がたつにつれ、裁判での敗訴が続いたこと、政府との対決路線に耐えられなくなった保守系、経済界の関係者が脱落したことも、陣営にとってはダメージとなった。運動が後退局面に入ったとき、指導層は理念や戦略を改めて検証し、体制を立て直さなければならない。だが、「オール沖縄」は翁長前知事の逝去後、内部の対立ばかりが目立ち、混乱しがちであった。そのため、戦略の練り直しはなおざりにされたまま、ひたすら「翁長路線」の継承を唱えるだけであった。
「基地問題」という政治色の強い争点がかすみ、県民の関心は生活に向かう。折しも、故翁長氏の後を継いで玉城デニー氏が知事に就任した翌年(2019年)には、新型コロナによって、沖縄観光は大打撃を被った。沖縄では土建の下請けのほか、宿泊、飲食、土産店、タクシー、レンタカーなど中小企業が多い。コロナは彼らを直撃し、多くの県民が仕事を失った。コロナが収まった2023年以降も、経済苦境が続いている。
2022年2月に始まったウクライナ戦争と円安の影響などで、燃料価格が高騰した。島嶼県という不利な地理的条件もあって、生活物資の価格も急騰する。また、県外からの巨額の投資が続いたため、地価が上がり、高い家賃の支払いに苦しむ県民も多い。生活苦を抱える一般県民にとって、基地問題はもはや有識者や(元)教員や(元)公務員など、エリートたちの優雅な話題に見える。「オール沖縄」系の基盤が崩れていくのは自然の流れであった。
<玉城知事の行政手腕が問われている>
2018年に知事に就任した玉城デニー氏は、端正な顔立ちに加えて、ラジオのパーソナリティ時代に鍛えたなめらかな話術、さらには好人物との印象もあり、抜群の人気を誇る。だが、玉城知事の政策ビジョンは、「誰一人取り残さない」「平和外交」など、抽象論に終始し、具体策は明示してこなかった。
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