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沖縄県議選、「オール沖縄」は生き残れるか

Japan In-depth / 2024年6月12日 14時0分

なお、玉城知事が打ち出した給食費無償化案については、県庁幹部は事前に知らされていなかったという。知事が共産党と協議して独断で決定したというのである。他の諸政党、会派関係者とはあまりコミュニケーションを取らない知事だが、共産党とは積極的に話し合いを持つと言われる。玉城氏は共産党の組織力に依存しているのであろう。





この件で、知事のプラスのイメージは大きく損なわれた、との声が保守系を中心に上がっている。行政の政治化をもたらしたからだ。共産党にとってもプラスになるかどうかは分からない。選挙戦を有利に運ぶために、知事を利用したとも考えられるためだ。財政的に苦しい町村部などを軽視したようにも見える。共産党の獲得議席数がどうなるか、を注視する人も多い。





<自民党も政治資金問題を抱え、万全ではない>





県議会での多数派を目ざし、攻勢をかける構えだった自民党も、「政治資金」という思わぬスキャンダルに見舞われ、逆風に直面している。本土に比べると、安部派の議員がほとんどいないこともあり、沖縄では影響は限定的という見方もある。とは言え、有権者の一部から自民党への厳しいの声も上がっており、懸念する党関係者も少なくない。





また、昨年(2023年)12月には、陸上自衛隊がうるま市に訓練場を建設する計画が報道されたが、その後、関係自治会が全会一致で反対するという事態になった。候補に挙がった場所はベッドタウンとして開発された地域であることを、自衛隊は認識しなかったようだ。反発が余りにも強く、自民党沖縄県連も反対に回ったこともあって、この計画は白紙撤回された。





この件は自民党にとって大きな失点になりかねなかったが、いち早く自民党県連が反対を表明し、沈黙していた保守系寄りと見られる中村正人市長も反対を明言するなど、瀬戸際の「危機管理」によって、ダメージは最小限に抑えられた。





自衛隊基地が沖縄県内に次々と新設され、ミサイル攻撃を想定した住民避難訓練が行われている。安全保障上の危機を前提とした体制づくりには反対意見もあるが、広がる気配はない。中国の軍拡と強硬な対外政策への漠然とした不安を感じる県民が多く、自衛隊基地拡大を容認するムードがある。





ただ、自衛隊隊員が必ずしも、沖縄県民の戦争への忌避感の根強さを、深刻にとらえていない傾向もあり、時折、自衛隊は旧日本軍と変わらないのではないか、との疑念を県民が抱くこともある。安全保障の専門家や防衛省幹部の中には、沖縄県民の微妙な歴史観に対し、自衛隊が時折無神経な態度を示すことを危惧する声もある。





自衛隊と県民との関係については、自民党の役割が重要である。もし、県民の間に反自衛隊感情が強まれば、安全保障環境にとって大きな障害となる。旧日本軍とは根本的に異なる「自衛隊」のあり方に同党が責任をもって関与する必要がある。これは、安全保障を重視する自民党や保守系にとって、大きな課題である。





トップ写真:玉城デニー沖縄県知事 @沖縄県主催「デニー知事と考える沖縄と日本の安全保障」(2023年2月8日文京シビックセンター)筆者撮影




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