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タイムパラドクス問題の現在(上) 「タイムトラベル論争」も時間の問題?その4

Japan In-depth / 2024年6月30日 12時8分

タイムパラドクス問題の現在(上) 「タイムトラベル論争」も時間の問題?その4




林信吾(作家・ジャーナリスト)





林信吾の「西方見聞録」





【まとめ】





・時間は過去から現在へ一方向に流れると証明されていないため、タイムトラベルをテーマとした娯楽や議論が絶えない。





・近年は理論上、未来へ行くのは可能だが、過去に戻るのは難しいとされる。





・一方、パラドクスはそもそも不可能だと考える学者も存在する。





 





誰しも自分の過去を振り返って、あの時こうした決断をしていれば(もしくは、しなければ)、今とは違う人生だったのでは……と思えることが、ひとつくらいはあるだろう。





タイムトラベルによって過去を変え、その結果として現在も変わってしまう、という設定のフィクションが、手を替え品を替え、繰り返し世に問われるのは、おそらくこうした心理のなせる技だろう。





1985年に公開され、大ヒットした映画『バック・トゥ・ザ・フーチャー』などが、典型的な例だと言える。





カリフォルニア州の片田舎(架空の新興住宅地)で暮らす高校生のマーフィーが主人公。マイケル・J・フォックスの当たり役となった。たまたま年の離れた友人のドクから、タイムマシンを発明したと聞かされ、実験を手伝うことに。実験場所は、ショッピングモールの広い駐車場。そこには、一台のデロリアンが停まっていた。





しかし、その燃料はプルトニウムで、ドクがリビアの過激派からだまし取ったものだった。カラシニコフ突撃銃で武装したリビア人に襲撃され、マーフィーはデロリアンに飛び乗って、駐車場内を逃げ回る。ところがそのデロリアンは、一定の速度を越えるとタイムマシンと化す機能が備えられていたのだ。





結果、彼は1955年にタイムスリップ。





そこで「未来の両親」に出会うわけだが、父親になるべき男子高校生はいじめられっ子。母親になるべき女子高生は、なんとマーフィーを好きになってしまう。





このままでは両親は結婚することなく、そうなれば自分も消滅する、という危機感を抱いたマーフィーの奮闘がストーリーの柱で、この年最大のヒット作となった。脚本の面白さとキャストの演技も高く評価され、1987年には日本アカデミー賞の最優秀外国映画賞にも選ばれている。





その後、どうにか「未来へ帰る」ことに成功した彼が、翌朝目を覚ますと、実家はすっかり様変わりしていた。





冴えない勤め人だった父親はベストセラー作家に、人生に疲れたような風情で、いわゆるキッチン・ドランカーに成り果てていた母親は若さと美貌を保っており、そして、ガレージには夢にまで見たトヨタのピックアップ・トラックが。





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