公開情報を納税者に隠す防衛省のインテリジェンスの欠如
Japan In-depth / 2024年7月19日 1時9分
この件を陸幕衛生は相当警戒していたようで、数カ月にわたり、当時の陸幕広報室長松永康則1佐は担当者に筆者には居留守を使えと命じていた。そのことを会見で岩田陸幕長に質問すると、即座に衛生部に対する取材が可能となった。その後松永1佐は陸将補に昇進するはずが、見送られ地方に飛ばされたそうだ。関連で10名ほどが更迭されたと聞いている。だがその半年後陸幕長が交代すると松永1佐は陸将補に昇進している。
この件で明らかなのは明らかな嘘でも防衛省や自衛隊は「事実」と言い張る、大臣や幕僚長といった組織のトップにまで嘘を付くということだ。
そして隠蔽のためには「居留守」という広報職種であってはならないインチキまで行う。これは普通の組織では懲戒解雇されて当たり前の行為だ。そして関わった人間が処分されないとうことだ。
つまりトカゲの尻尾切りではく、トカゲの頭切りを行うということだ。頭を切ってもまた別な頭が生えてくるので、組織全体が危うくなることはない。頭に責任を押し付けて組織防衛を行う、そのような組織文化があるということだ。この個人携行衛生品も内部では改善がされなかっただろう。「蛇よりしつこい」と揶揄される筆者がその問題を執念深く暴いて、他の協力者が動いたことで改善が成された。このように情報開示こそが組織の腐敗を防ぎ、問題点を改善していくのだ。だが防衛省、自衛隊の秘密主義のおかげでそのような腐敗防止や問題点の改善は起こりにくい。
それは軍事常識の面でも顕著だ。自分たちの組織に不都合な軍事的な事実も直視しようとせず、自分たちは正しいと互いに言い聞かせていく。だからドローンの導入やネットワーク化などでも遅れを取っている。そのためには総務省と電波割当について話さないといないし、新しい部隊を編成するために既存の部隊を縮小、廃止しないとならないからだ。だから理由をつけて現状維持が正しいと言い張る。だがそれは現状維持と、それの恩恵を受けている者たちの利益を損なうことになる。だから自衛隊のドローン導入やネットワーク化は途上国からも遅れを取っている。
まさに「自衛隊の常識は社会の非常識」「自衛隊の常識は軍隊の非常識」なのだ。商社に取材すると「我々は防衛省や自衛隊の方々の主張を英訳して外国のメーカーに伝えているのではない。彼らの軍事的なトンデモな話をなんとか外国のメーカーに伝わるように『翻訳』して伝えることだ」という。
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