民心から遠ざかる金正恩体制
Japan In-depth / 2024年7月19日 11時56分
朴斗鎮(コリア国際研究所所長)
【まとめ】
・元駐キューバ北朝鮮政治担当參事官李イルギュ氏が韓国メディアのインタビューに答えた。
・今年に入り、金正恩総書記は本格的な神格化・絶対化作業に突入している。
・この路線は住民を金正恩から遠ざけている。
北朝鮮の金正恩総書記は、体制の危機脱出のため、「統一路線放棄」「第一の敵国は韓国」「韓国民は同一民族ではない」などの先代否定政策を打ち出し、北朝鮮住民に動揺を与えている。第8期10回党中央委員会総会拡大会議(6月28日から7月1日)では、それまでの「金日成・金正日バッジ着用を「金正恩バッジの着用」に変更し人々を驚かせた。
今年に入って、金正恩偶像化は一線を越えた。本格的な神格化・絶対化作業に突入している。しかし、この路線は、金正恩を北朝鮮住民からますます遠ざけている。そうした北朝鮮の状況が、昨年11月に韓国へ亡命した元駐キューバ北朝鮮政治担当參事官李イルギュ氏(52)の韓国朝鮮日報とのインタビュー(7月16,17,18日)で、明確に語られた。
以下でそのインタビュー内容を抜粋して紹介する(翻訳は筆者)。
*李イルギュ氏は、昨年11月初め、妻と子供を連れて亡命し韓国に定着した。李氏は北朝鮮外務省の代表的「キューバ通」で、2019年4月からキューバ駐在政治担当参事に任命され、昨年まで韓国とキューバの修交を阻止する任務を担っていた。 2016年に韓国に亡命したテ・ヨンホ駐英国北朝鮮公使以後、韓国に来た北朝鮮外交官の中で最も職位が高い。
- 金正恩に会ったか
「茶も一緒に飲んだ。金正恩も向かい合って座れば、ただ平凡な人間だ。近くで見ると、「血圧がとても高い」ことがはっきりする。常に顔が酒を飲んだかのように、真っ赤だ。画面に出るよりも赤い。インディアンみたいだ」
-2022年11月娘キム・ジュエを公開したが
「金正恩がジュエを連れ歩いたのは(メディア公開の)ずいぶん前のことだ。(私は)平壌で第2自然科学院のアパートに住んでいた。住民の80%以上が核およびミサイル開発に従事していた人々だ。彼らによると、抱きしめなければならない子供の時から、金正恩の気分が良ければ「私が姫を見せてあげる」とジュエを連れ出したという。ジュエを初めて公開した時は不思議だったが閲兵式のような公式国家行事まで連れて行ったので拒否感が徐々に大きくなった。私は、あのような人々の足元で様々な卑しめを受けて生きてきたが、これから私の子供がまたその幼い者の前でヘコヘコしながら生きなければならないのかと思うと気が詰まった。少なくない北朝鮮人がこのような考えをしているはずだ」
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