民心から遠ざかる金正恩体制
Japan In-depth / 2024年7月19日 11時56分
「身体的にそうだということだ」。海外に子どもたちを連れて行ってから平壌に戻って学校に入学させれば歴然と差が出るものがある。北朝鮮だけに住んでいた同級生の子供たちより身長が5~10cmほど大きく、肌の艶も違う。北朝鮮では食べることがほとんどない肉・牛乳のような栄養価の高い食べ物を外国で多く摂取するためだけではない。自由を味わう人生を生きたからだと思う」。
-キューバは北朝鮮とどう違うのか
「キューバは北朝鮮のような独裁国家ではない。国連憲章と国際法などを尊重する国際関係の標本のような国といっても過言ではない。キューバで考えを別にしたり、政府を非難したからといって処罰された時期はずっと前に過ぎ去った。キューバが数年もジュネーブ国連人権理事会の加盟国に選出されるのも偶然ではない」。
-韓国・キューバ修交をどう見たか
「キューバは、豊富な地下資源と発達した観光環境などを保有する潜在力と実用性が非常に大きい国だ。韓国・キューバ修交は大きな政治的・経済的意義があると考える。ただし、韓国とキューバの修交意義について「北朝鮮の孤立、北朝鮮を相手にした体制競争の勝利」などと表現した記事を見たが、この指摘は全く合わない。韓国と北朝鮮の間に「競争」という言葉がまったく成立しないからだ」(注:韓国にとって北朝鮮はすでに競争相手ではないという意味)。
-韓国・キューバの修交で北朝鮮内部の衝撃が大きかったようだが
「韓・中、韓・ソ(ロシア)の修交の時ほどではないが、衝撃は大きかった。金正恩は、キューバが全世界でほとんど唯一、韓国と修交していない国という象徴性のため特に重視した。昨年、当時の朴振(パク・ジン)外交部長官(韓国)がグアテマラでキューバ外交部次官に会って面談した内容が韓国メディアに報道されたが、大使館でこれを見逃したことがある。すぐさま平壌から「韓国がキューバと修交議論をしたが、代表部は何も知らないというのが話になるのか」と追及する電文が来るほどだった。
-韓国・キューバ修交を全く予想できなかったか
「2022年に私がすでに『キューバが経済的に困難なので、韓国と突然修交したベトナムの場合もあり、随時状況チェックをしなければならない』と党に報告した。外務省幹部たちは、修交が時間問題だと思って心の準備をしていたが、党幹部たちはそうではなかった。
-キューバ駐在北朝鮮大使も召喚されたが
「今年2月、北朝鮮がマ・チョルスの駐キューバ大使を召喚したのは、現地大使にすべての責任を負わせようとする国際部と外務省幹部らの術策だと思う。 2023年、両親がなく祖父母と住んでいた馬大使の孫がキューバからアメリカに行こうとして失敗して北朝鮮に連れて行かれたが、その責任と私の脱北に対する責任を問うための側面もあるようだ。
-北朝鮮と海外に残っている仲間たちにしたい話があるとしたら
「大韓民国に来てみると(脱北という)巨大な冒険をするのに十分な価値があることを切実に感じる。仲間たちには申し訳ない気持ちが大きく、いつも懐かしい。北朝鮮には未来がない。その呪いのような暗黒の土地を捨てて、明るい世界に出てくる勇気を出してほしい」。
トップ写真:ロシアと北朝鮮の対話に向かう際の金正恩総書記(平壌、2024年6月19日)
出典:Photo by Contributor/Getty Images
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