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コミュニティの、コミュニティによる、コミュニティのための蒸溜所 ~社会還元型ビジネスモデルを推進するスコッチウイスキー蒸溜所~ その1

Japan In-depth / 2024年7月22日 18時0分

コミュニティの、コミュニティによる、コミュニティのための蒸溜所 ~社会還元型ビジネスモデルを推進するスコッチウイスキー蒸溜所~ その1




ケリー狩野智映(フリーライター/翻訳者/メディアコーディネーター)





【まとめ】





・スコットランドにはクラウドファンディングで成立した世界初のコミュニティ蒸溜所がある。





・周辺地域住民を中心に投資された。





・投資したメンバーは蒸留所の意思決定に参加できる。





 





ハイボールのヒットや海外での人気急上昇で品薄状態が続いているジャパニーズウイスキー。だが、ウイスキーと言えば、本家的存在であるのはやはり、スコットランドで造られるスコッチであろう。





スコットランドは、言わずとも知れた世界5大ウイスキー産地のひとつ。日本もそのうちのひとつに数えられるが、スコットランドでのウイスキー蒸溜は500年以上の歴史を誇る。





そして、面積と人口が北海道よりやや小さい程度のスコットランドには、2024年5月の時点で稼働しているウイスキー蒸溜所は151か所もある。対して日本は、開業準備中のものを含め、全国で114か所だという。





さらに、スコッチウイスキー産業が英国経済にもたらす粗付加価値額は、2022年で71億英ポンド(約1兆5000億円)に達している(スコッチウイスキー協会データ)。





だが、歴史深いウイスキー名産地のスコットランドでも、ウイスキー不況の1980年代には数々の蒸溜所が閉鎖に追い込まれ、生き残った蒸溜所は合併するか、大手企業に買収されるという事態に陥った。





その結果、蒸溜所の多くはディアジオやシーバス・ブラザーズ、バカルディなどの世界的なグループの傘下にある。





そのようなスコッチウイスキー業界にあって、他と一線を画しているのがグレンウィヴィス蒸溜所(GlenWyvis Distillery)だ。





■ 世界初のコミュニティ蒸溜所





グレンウィヴィスは、スコットランド北部ハイランド地方の主要都市インヴァネスから車で北上すること30分弱の小さな町、ディングウォールを見下ろす小高い丘に居を構えるクラフトスコッチウイスキー蒸溜所。





ここが他と大きく異なるのは、クラウドファンディングで成立した世界初のコミュニティ蒸溜所であり、上質のスコッチウイスキーを造り出し、収益の一部を周辺地域の発展に役立てることを使命とした社会還元型ビジネスであるという点だ。





投資者は「メンバー」と呼ばれ、2016年と2017年の2度にわたって実施されたクラウドファンディングでその数は3262人に達している。一個人が投資できる額の上限は10万英ポンド(約2000万円)。





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