バイデン撤退 ドラマ伴う権力者の退場
Japan In-depth / 2024年7月23日 23時31分
独裁者、サダム・フセイン・イラク大統領が隣国クウェートに侵攻したことに端を発した1991年のイラク戦争を勝利に導き、一時は国民から圧倒的に支持されたが、外交にエネルギーを費やしすぎて経済が停滞、それが災いして多くの予想を裏切り、一期だけの大統領で終わってしまった。
日本では、総選挙で敗北して非自民連立政権の登場を許した1993年の宮沢喜一政権、民主党に政権を明け渡した2009年の麻生太郎政権などが想起される。
筆者には1976年の総選挙で敗北した三木武夫氏、1978年11月の自民党総裁選で再選を果たせなかった福田赳夫氏が忘れられない。
三木内閣は、アメリカで明るみに出たロッキード事件をめぐって、その解明に積極姿勢をみせた。
しかし田中角栄元首相の逮捕、起訴に発展するにおよんで、当時の椎名悦三郎副総裁ら党内重鎮から、「惻隠の情がない」「はしゃぎすぎ」などの批判を浴び、退陣要求を突き付けられた。
戦前から政治の修羅場をくぐりぬけてきた三木氏は得意の粘り腰を発揮、退陣要求をかわし続けたが、解散権の行使もままならず、任期満了で行われたその年秋の総選挙で敗れ、在職2年で総辞職のやむなきに至った。
三木氏の後継が福田赳夫氏。
2年後の自民党総裁選で再選をめざしたが、自民党幹事長だった大平正芳氏に敗れた。
ともに三木氏に退陣を迫った大平氏との間で「2年で禅譲」という約束があったともいわれたが、福田氏は自信満々、当時導入されていた自民党員による予備選で「1位以外は国会議員による本選挙を辞退すべき」と主張した。
ふたを開けてみればあろうことか、大平氏に最多得票を許してしまった。やむなく退陣表明したが、「昭和元禄」など造語の名人、福田氏が、敗戦の会見で悔しまぎれに「天の声にもヘンな声がある」と〝迷言〟を吐いたのはこの時だ。
福田赳夫氏は、後の首相、福田康夫氏の父、福田達夫自民党元総務会長の祖父だ。
■ 政権佳境の時に病で退陣
病を得て志半ばで挫折するのは気の毒というほかはないが、アメリカでは第2次大戦末期、異例の4選を果たしながら、その直後に終戦を待たずして亡くなったフランクリン・ルーズベルト大統領が有名だ。
日本ではさきに少し触れた小渕恵三氏が脳梗塞で倒れ、そのまま意識を回復することなく亡くなったのは気の毒だった。
1956年に就任した石橋湛山首相は、遊説の疲れから就任直後に肺炎を起こし、在任わずか65日で退陣を余儀なくされた。何の仕事もできないままの辞職は不運だった。
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