「石丸氏2位」が持つ意味とは(下)「選挙の夏」も多種多様 その4
Japan In-depth / 2024年7月26日 11時0分
林信吾(作家・ジャーナリスト)
林信吾の「西方見聞録」
【まとめ】
・石丸伸二氏が165万票以上を獲得し2位になったのは、SNSやYouTubeでカリスマ的な人気を博していたから。
・ネット社会と呼ばれるようになってから、英国の選挙運動も大いに様変わりしてきた。
・ 英国では昨年「2023年オンライン安全法」が可決されたが、規制の網を掛けるのは簡単ではないようだ。
今次の東京都知事選挙において、石丸伸二氏が165万票以上を獲得し2位になったのは、彼がSNSやYouTubeでカリスマ的な人気を博していたからだ、と前回述べた。
今やそういう時代なのだな、と感慨を新たにしたのは、私だけではあかったであろう。
シリーズ第1回でも述べたように、都知事選に先駆けて英国で総選挙が行われ、労働党が圧勝して14年ぶりに政権交代を実現した。
戦後(と言っても、太平洋戦線は未だ終結していなかったが)、最初に労働党が政権を取ったのは、1945年7月の総選挙で過半数の議席を得てのことである。
この時の選挙だが、下馬評では保守党が断然有利と言われていた。第二次世界大戦の英雄であるウィンストン・チャーチルが同党を率いていたためで、彼のカリスマ性だけで選挙に勝てる、と考える人が多かったのだ。
だが、二度の世界大戦で大きな犠牲を払い、言うなれば疲れ果てていた英国民は、相変わらず戦闘的愛国心を煽るばかりのチャーチルを見限り、英国は今後、
「植民地主義と決別し、福祉国家として復興の道を歩むべき」
という、当時の労働党首クレメント・アトリーの主張を受け容れた。
詳細は、拙著『これが英国労働党だ』(新潮選書)をご参照いただきたいが、そのアトリーについて複数の政治家やジャーナリストから、面白い評価を聞かされた。
「TVの時代となった今では、彼は党首や首相にはなれなかったでしょうね」
というのがそれである。
煎じ詰めて言うならば、彼にはカリスマ性がなく、むしろ20世紀末に流行した表現を用いるなら「ネクラ(根暗)」であったので、皆がTVを通じて政治家の人柄はもとより、容姿や服装のセンス(!)を評価する時代にあっては、大衆的支持を得られたとは考えにくい、ということになるらしい。
そもそも、彼は労働者階級の出身ではない。裕福な弁護士の子として生まれ、自身もオックスフォード大学で法律を学び、弁護士資格を得たが。その間、父親からは大企業の重役クラスの給与額に相当する仕送りを受けていた。
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