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10式戦車近代を占う 前編

Japan In-depth / 2024年8月1日 23時0分

陸自は74式戦車導入では国鉄(現JR)の貨車で運べるサイズにしたが、戦時に国鉄で戦車を輸送する、また戦時に国鉄に自衛隊に協力してダイヤを変えるような法的な根拠も存在しなかった。つまりはフィクションに合わせて戦車の仕様を決めたのだ。これと同じである。防衛省は、90式は車内が狭くてC4IRシステムである10TKNW が搭載できないことを、10式導入の理由のひとつに説明してきたが、これは事実ではない。10TKNWの開発は90式をテストベッドにして行なわれた。そして車内容積は軽量化を追求した10式の方が90式よりも狭い。





そして陸幕はネットワークを軽視している。これではいくら戦車だけ近代化しても戦力は向上しない。現在の陸戦では情報化、ネットワーク化が必要不可欠だが陸幕はその10式戦車は10TKNWという四半世紀前の技術のネットワークシステムを使っているがこれは完全に時代遅れだ。中隊内でしか基本ネットワークが機能しないし、通信速度が他国のシステムの数分の一であり、マトモにデータ送受信ができない。パソコンでいえばカプラーに電話の受話器を繋いでいるようなものだ。





この旧式なネットワークシステムを今年から調達を始めた8輪装甲車、共通戦術装輪車に採用している。10TKNWは三菱重工が自社開発したが、インターフェイスも悪く使い勝手が良くなく不評だ。三菱重工が社内で作ったルーターも低性能だ。共通戦術装輪車の開発が遅れたのはこの10TKNWが偵察型や自走迫撃砲のシステム統合でうまく機能しなかったからだ。





もっとひどいのは同じく8輪で次期装輪装甲車として採用されたAMV XPだ。これは指揮通信車のみ10TKNWが搭載されているが、主力の兵員輸送型はじめ、派生型には広域多目的通信機しか搭載されておらず、ネットワーク化されていない。これはGPS内蔵されてメールの送受信、NBC警報などは受信できるが基本音声専用でネットワーク機能はない。





今後現在の軽装甲機動車の後継である「小型装甲車」が選定されるが、こちらも同様になるだろう。仮に10式で高度なネットワークを搭載しても他のプラットホームが音声通話や旧式な10TKNW しか搭載していないのならば、組織的な戦闘は不可能だ。





本来共通戦術装輪車、次期装輪装甲車、小型装甲車を採用する段階でこれらと、10式や16式機動戦闘車を同じネットワークシステムを搭載するべきだった。









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