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10式戦車近代を占う 前編

Japan In-depth / 2024年8月1日 23時0分

▲写真 スコーピオンに基づくルクレールの最新型ルクレール 出典:筆者提供。





これをフランス陸軍のスコーピオン計画と比較してみよう。スコーピオン計画はルクレール戦車の近代化プロジェクトを含む、装甲車両のポートフォリオの更新計画だ。仏陸軍参謀本部とDGA(防衛装備庁)が2000年から着手して2億ユーロ(約300億円)の費用をかけて、既存の装甲車輌の役割をどのような後継車輌に割り振り、FELIN先進歩兵システムとVBCI歩兵戦闘車のネットワークシステムとのシステムの統合なども含まれている。総予算は60億ユーロ(約7800億円)が見込まれている。ネットワークシステムはSCIS(Scorpion Combat Information System)が採用されている。SCISは現在仏陸軍が使用している5種類のシステムの後継となるシステムである。将来SCISはタレスが開発中APS(積極防御システム)、ディアマンも統合される予定である。





防衛省にこのような計画は存在しない。個々の装甲車の調達計画があるだけだ。しかも最新型の装甲車にすら音声無線だけを搭載するのだ。これでは途上国以下だ。仮に10式の近代化が大成功しても機甲部隊として機能は発揮できないで税金のムダ遣い終わる。そして、現在の予算規模では戦車含めての装甲車両の数ではまともな近代化は不可能だ。





https://toyokeizai.net/articles/-/640971?page=2





では戦車は不要かといえばそうではない。今後どのように戦略環境が変わるかわからないし、技術の革新がどういう方向に進むのか分からない。であれば将来に備えて種火程度の洗練させた機甲部隊を残せばいいだろう。筆者は、戦車は100両もあれば十分だと考えている。そもそも少子高齢化で労働人口が減少する将来にわたって、現在の陸自16万人体制の維持は無理だ。にも関わらず部隊をスクラップしないで南西諸島などに配備する部隊やネット関連部隊などを次々と立ち上げている。現状部隊の多くは隊員の充足率は極めて低く、骨粗鬆症状態だ。





そうであれば陸自の規模を縮小し、ネットワーク化やドローンなどの新しい分野への投資を行って他国と同じレベルの部隊を整備すべきだ。例えば陸自の総兵力は10万人程度に押さえて3万人は純粋に削減し、3万人は海空自に振り分ける。





機甲部隊は第7師団を旅団に格下げして、後は機械化部隊を2~3個まで減らして、1~2個師団を編成する。その代わりネットワーク化を完全に行うべきだ。戦車一点豪華主義は「ヘボ将棋、王より飛車を可愛がる」の類であり、軍事の常識から外れている。防衛省は予算増額をいうのであれば、軍オタの与太話レベルの装備調達の仕組みを根本的に見直すべきだ。





トップ写真:KF51パンター・EVO・アップグレード 出典:筆者提供




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