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「久保選手不参加」は残念だが……今から次の五輪が楽しみ その4

Japan In-depth / 2024年8月24日 10時8分

「久保選手不参加」は残念だが……今から次の五輪が楽しみ その4


林信吾(作家・ジャーナリスト)


林信吾の「西方見聞録」


【まとめ】


・久保建英選手らの不在と年齢制限で、五輪でのメダル獲得が困難に。


・歴史的に、サッカー五輪への参加にはアマチュア制限があり、プロ選手の出場は制限されてきた。


・陸上では久保凜選手が女子800mで日本記録を更新し、将来の活躍が期待される。


 


 私にしては珍しいことに、今次パリ五輪の男子サッカーには、もうひとつ熱くなれなかった。不完全燃焼だったと言えばよいか。


 準々決勝で、金メダルを獲得したスペインに破れ、ベスト8どまりとなったが、これはまあ致し方ない。ただ、久保建英選手らが招集されていなかったので、もはやメダルは期待できないだろう、と(やる前から諦めてはいけない、とは思いつつ)考えてしまったのだ。


 これは決して私一人の考えではなく、ヨーロッパのサッカー・ジャーナリストたちも、メンバーが発表されるや、


「日本はメダル候補だと思っていたが、残念ながら望み薄になった」


などとコメントしていた。


 なぜこのようなことになったのかを語るためには、ひとまず時計の針を100年ほど戻さなければならない。


 本連載でも以前に述べたことがあるが、近代オリンピックはフランスのクーベルタン男爵が旗振り役となって始まった。そして、1925年に発表されたIOC(国際オリンピック委員会)の規定では、


「いかなる種目にもプロフェッショナルの参加は認められない」


と明記されていたのである。語弊を怖れず言えば「スポーツは肉体労働ではない」という、上流階級の意識が見て取れる。


 これに反発する声も実は当初からあり、1932年には、


「アマチュア選手に対しても、本来の労働で得られたはずの報酬が支払われるべき」


と訴えた選手たちもいたが、IOCはこれを認めなかった。この年はロサンゼルス五輪が開催されたのだが、サッカーは種目から外されている。ヨーロッパに比べて米国でのサッカー人気はあまり高くなかったからだとも、前述の「反アマチュアリズム」を唱えたアスリートの中に、サッカー選手が占める比率が高かったためとも言われるが、確たることまでは分からない。


 しかし第二次世界大戦後、社会主義国が相次いで誕生したことで、新たな問題が生じた。


 社会主義国家にあっては、プロのサッカー・クラブも「国営企業」で、選手は「公務員」である。つまり、彼らはアマチュアとして五輪に参加することができる。


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