米大統領選 世論調査の信頼度とは
Japan In-depth / 2024年9月16日 11時0分
ハリス氏といえば、バイデン政権の副大統領時代は不人気の評判が定着していた。政策面でなんの実績も残さず、メキシコ国境を越えての不法入国者の奔流のような侵入に対して、バイデン政権の国境警備の最高責任者とされながらも、合計1000万をゆうに越える流入を許してきた。その結果、USAトゥデー紙の世論調査ではハリス副大統領の支持率は28%と、史上最低をも記録した。
だがその同じ人物が8月には45%以上と、跳びあがるように支持率を高めたのだ。
その理由は多々、指摘されるが、民主党支援の大手メディアがハリス氏を天まで昇れという勢いで賞賛し続けたことも明らかに大きかった。ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、CNNテレビという日本でもおなじみの大手メディアである。
しかしアメリカ側の識者の一部にはこの世論調査自体の客観性や信頼性を疑う声もある。その疑問は過去2回の大統領選で世論調査がいずれも大きな誤断を示した事実にも由来する。
アメリカの世論調査機関では最大手で全米唯一、現職大統領の支持率調査を毎日、実施するラスムセン社のベテラン調査分析者のマーク・ミッチェル氏はここ7週間ほどのハリス候補の支持率の急上昇について語った。
「民主党支持のメディアが主宰する調査で回答者の選別の調整などによりハリス候補への支持が現実よりも多いバブルとなった形跡がある」
ちなみに最近のアメリカの世論調査は数十の個別の機関の出した支持率、不支持率を集めて平均値を出すリアル・クリアー・ポリティックス(RCP)の算出数字がよく引用される。だがその個別の機関の調査方法に偏りがある、という指摘は長年、絶えていないのだ。
この点、トランプ陣営で世論調査対策を担当するジム・マクロ―フリン氏となると党派性を露わにして辛辣に指摘する。
「副大統領として史上最低の支持率を記録したハリス氏が予備選も経ずに候補になったとたん、支持率を急上昇させたのは、民主党びいきのメディアの賞賛に加えて、多くの世論調査機関が民主党支持層の多い地域や人種層を調査対象として優先した結果だ」
バブルか否かは断じられないとしても、確かにニューヨーク・タイムズが9月9日に報じた全米の支持率調査ではトランプ候補48%、ハリス候補47%となった。それまでのハリス氏数ポイントの先行の逆転だった。ウィスコンシンなどの接戦7州でもトランプ候補がまた追い越した。さらに9月13日に公表されたラスムセン社の全米調査ではトランプ氏48%、ハリス氏46%という結果だった。
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