総理決定前に解散日程が一人歩きする“怪”
Japan In-depth / 2024年9月16日 7時0分
■ 短時間の予算委で国民は判断できるか
小泉新総理・総裁が誕生した場合、1日の首相指名後、直ちに党役員人事、組閣を行い所信表明、衆参での代表質問を行った後に解散に踏み切るとみられる。党内外には、衆参で予算委員会を開き野党との論戦を通じて、新首相としての政見を内外に示してからにすべきだという指摘も少なくない。
「国民の信任は基本だ。できるだけ早くすべきだが、信任を得る時に、政権構想を示し一定程度国会で論戦しながら判断していただく」(加藤勝信元官房長官)などというのはそうした認識だろう。
国会論戦を待たずに解散すべきか、短時間の予算委員会での討論を行ってから解散すべきか、が現時点での焦点の一つだが、そもそも論をいえば、この議論は五十歩百歩、大差はないというべきだろう。
予算員会を行ってから解散という主張は筋が通っているように聞こえるが、せいぜい衆参で1、2日程度だろう。その程度の論戦で、有権者はどれだけ新政権への評価を得られるか。
憲政の常道からいえば、衆院の解散・総選挙が許されるのは本来、重要政策で与野党が激しく対立、国民の判断を仰ぐ必要があるときか、新政権発足後に国民の信任を得たいときなどに限られる。
今回は後者にあてはまるが、その場合でも、河野デジタル相が述べた「任期いっぱい仕事をして国民の判断を仰ぐ」(NHKの討論)というのが、氏のホンネはともかくとして、本来の姿だろう。
新政権としてのプランを示すだけでなく、少なくとも数か月か半年、通常国会、臨時国会での施政方針、所信表明演説、長丁場の野党との論戦、予算編成作業などさまざまな機会を通じて、その仕事ぶり、実績を示してこそ初めて国民に評価、判断の基準を提示できるだろう。
永田町の議員諸公、〝場外業者〟の政治取材メディアからは「素人の議論」という批判も浴びせられよう。しかし、国民のほとんどはプロではない。
■ 「3年前」の再来期待?
過去の自民党新政権を見ると、いずれも発足から1年から半年くらい、短くとも半年程度をおいてから解散・総選挙に打って出ている。
唯一の例外は3年前、現岸田内閣の組閣直後の解散だ。菅内閣の不人気で危惧された議席大幅減が最小限に食い止められたこの時の選挙の再来を多くの議員は期待しているのかもしれない。
3年前、岸田首相は政権発足10日後に衆院を解散したが、当時はすでに、衆院議員の任期切れが目前に迫っており、いずれにしても総選挙を行う必要があった。
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