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「濃縮ウラン製造施設」を初公開した金正恩の狙い

Japan In-depth / 2024年9月18日 11時0分

「濃縮ウラン製造施設」を初公開した金正恩の狙い


朴斗鎮(コリア国際研究所所長)


【まとめ】


・北朝鮮建国76周年記念(9・9節)錦繍山太陽宮殿参拝に金正恩総書記欠席。


・金正恩は9月9日に幹部たちを集めた祝賀会で核武装強化路線を強調。


・13日には「濃縮ウラン製造施設」への視察を報道させ施設の一部を初公開した。


 


9月8日、北朝鮮建国76周年記念(9・9節)にあたっての錦繍山太陽宮殿(金日成と金正日の遺体が安置された建物)参拝に金正恩総書記は欠席した。金与正、趙甬元(チョ・ヨンウォン)、朴正天(パク・チョンチョン)など最側近も参加せず、外相・崔善姫、党国際部長・金成男も参加しなかった。


金正恩は慶祝集会・夜会にも参加しなかったが、9月9日に党中央庁舎で幹部たちを集めた祝賀会を開き「偉大なわが国家の隆盛・繁栄のために一層奮闘しよう」との施政演説を行った。この演説では、住民の金正恩への不満を意識してか「地方発展20×10政策のビジョン」を再度宣伝し、住民欺瞞に力を注いだ。その一方で「わが国は核保有国である」と主張し、「核兵器の数を幾何級数的に増やし、核の力量を絶えず強化していく」と核武装強化路線を強調した。


これまで北朝鮮の「9・9節」は、体制を宣伝するのが通例だった。しかし今回、金正恩は、経済・国防に対する課題を再度強調した。これは異例といえる。遅滞する計画目標達成に焦りをつのらせているものと解釈できる。


この演説では対外政策に関するメッセージはなかったものの、9月13日に、「濃縮ウラン製造施設」への視察を報道させ、施設の一部を初公開した(金正恩の訪問日時は不明)。これが金正恩の対外メッセージだったかもしれない。


 


■ 北朝鮮が秘密裏に進めてきた濃縮ウラン製造


今年の「9・9節」での「プロパガンダの目玉」は、「高濃縮ウラン製造施設」を初公開したことであろう。


北朝鮮が秘密裏に進めていたこの「高濃縮ウラン製造施設」が、暴露されたのは2002年10月だった。


訪朝した当時の米国国務次官補ジェイムズ・ケリー氏(ブッシュ大統領特使)が、「高濃縮ウラン設備」の証拠写真を提示し、核開発凍結を約束した「米朝枠組み合意(1994年)」に違反しているとして外務次官の姜錫柱(カン・ソクチュ)に説明を求めたところ、姜錫柱が開き直ってそれを認めことで明らかになったのである。その後、2003年1月10日に北朝鮮が核拡散防止条約からの脱退を再度表明したことで「1994年の米朝枠組み合意」は事実上崩壊した。


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